実現論を塗り重ねてゆく
242177 収穫より略奪のほうが効率的という考え方
 
三上香緒里 ( 23 北海道 会社員 ) 10/12/14 AM00 【印刷用へ
共同体として生きてきた人たちが、なぜ略奪という考え方になったのか。農耕の生産性という観点からヨーロッパを分析している文章があったので引用します。


『侵略の世界史〜この500年、白人は世界で何をしてきたか』清水馨八郎 祥伝社黄金文庫

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◆収穫より略奪のほうが効率的という考え方

 ヨーロッパの土地の生産性が日本の土地と比較していかに低いかを、次の数字で見ることができる。まず一ヘクタール当たりの牧草収穫高を比較してみる。イギリス、アメリカでは乾草3・6トン、生草14・4トン、フランスでは乾草5トン、生草20トン。対する日本では乾草30〜70トン、生草120〜300トンである。フランスのようなヨーロッパで最も豊沃な地帯と比較しても、日本は生草でも乾草でも、同一面積の6倍から15倍の生産量をあげている。

 次にヨーロッパでは農民が蒔いた種の何倍くらいの収穫量があるのであろうか。中世史家の報告によると、中世の15、6世紀まで穀物の収穫量は、播種量の2、3倍と考えられる。多く見積もる学者でも、4、5倍にしかならない。17、8世紀でも7、8倍にすぎない。日本では古くから「一粒万倍」の言葉があるように、収穫量は神の恵みと感謝してきた。ヨーロッパの農業は、私たち日本人には想像もつかないほど生産性が低い。

 冬の長いヨーロッパでは、春の来るのが遅れると、致命的な打撃を受け、飢餓は慢性的になる。種用として貯蔵していた穀物まで食糧に廻さねばならない。このような苛酷な風土では、生きるためには略奪によって補うより外に道が無い。

(中略)

 乏しい食糧をめぐる激しい争い、そして略奪を生存のための当然の権利と考えるヨーロッパ人の性向は、ここに由来するのである。

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◆狩猟・牧畜民族の残虐性


 高緯度立地、太陽光の乏しさ、作物の生育に必要な夏の雨量の少なさ、氷河時代の影響を受けた石の文化と沼沢地など、ヨーロッパの風土はどれをとっても農業で暮らすにはあまりにも酷しい環境である。したがって狩猟や牧畜、酪農が生活の基本にならざるをえない。

(中略)

 狩猟生活は絶えず動物たちに罠や囮を掛け、騙し捕え、おびきよせる技をみがかねばならない。遊牧も牧畜も絶えず動物を殺し、食し、血をみて暮らす生活である。動物にあわれみなど掛けていては、生活が成り立たない。数千年にわたる厳しい環境の下で、ヨーロッパ人たちが獰猛な肉食動物的残虐性を持つようになったのは、このためである。

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引用おわり。
 
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