実現論を塗り重ねてゆく
242133 「漢字」をつくった殷の商族、「漢字」に残る呪術性
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 10/12/21 AM00 【印刷用へ
漢字の持つ呪術性みたいなものは、だれもがうすうす感じていると思いますが、白川「漢字学」によるとそれが良く分かる。非常に面白い記事なので紹介させてもらいます。

変身のための起源論リンク より転載
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◆「漢字」をつくった殷の商族
 いま我々も使っている「漢字」は、漢族の成立よりずっと古く、殷(商)で発祥したものです。
 殷(商)はBC16−11Cに栄えた呪術文明です。のちの中華文明とは相当に違っていて、星占いや骨占いで国事を決め、人や獣を頻繁に「生贄」に捧げました。その恐るべき呪術性は、奇妙にも、中米インディオ文明にきわめてよく似ています。
 この商族は、のちに西方からやって来た姜族(=羌族)に敗れました。商族の思考はめっぽう「高度」だったけど、その複雑さは実用的でなかったのです。対して「野蛮」な姜族は、シンプルで実戦的な種族でした。
 この覇権交替を〈殷周革命〉と称します。これから勝った姜族は、「上天信仰=天の正義」を理念とする周王朝を築きました。いっぽう敗れた商族は、宋・魯ら各地に離散させられ、被差別民へと転じてゆきます。中国文明の基盤が、このような異質種族の重層にあったことは、重要です。

◆「漢字」に遺る先史の呪術
 白川「漢字学」のすごいところは、いま何げなく使われてる漢字の中に、BC一千紀の呪術世界を透視したところにあります。
 たとえば【家】は、屋根の下で犠牲獣を捧げるさまの象形。【道】は、外部に対して「魔除け」に生首を掲げたこと(!)の象形です。
【文】は人体に施すイレズミであり、【眉】はシャ−マンが顔にするイレズミであるという。古代商族の戦闘では、戦士団に女シャーマンたち(=媚女)が付き従い、敵側の女たちと「呪術戦」を繰り広げたというのです。勝った側は、真っ先に敗軍の「媚女」たちを惨殺した。彼女たちの呪力が勝敗を左右するとされたからです。このような「媚女」たちの殺戮を表したのが【蔑】の原字であるという。
【聖】は鳥霊から天意を聴き取ることの象形です。何とすなわち「聖人」とは、もとは天の声を聴くシャーマンを指したというわけ。【隹】はその鳥霊を、【奮】はその霊の招き入れを表現する。【新】は鳥霊の宿り木で、【庭】は降霊の祭場です。
 また【若】は髪を振り乱したシャ−マンの姿、【脱】はそのエクスタシー状態の表現です。
【音】は霊が針器を鳴らすこと、【曰】は器中の呪書、【書】はその器を埋封したもの、【害】はその呪器を貫いて破壊するさまだ…という。
 ほんの一部しか紹介できないけど、このように、ほんらい「漢字」に託された呪術性は凄まじいものでした。これは中国のみならず、古代ユーラシア〜インディオまでをつなぐ汎先史文明への手がかりでもあるでしょう。
 このような広い視野を持つ「漢字学」の白川氏が、柳田的な「一国民俗学」に鋭く批判的であったのは、当然だったと思います。

◆商族のその後
 最後に、亡国後の商族の活動を見ておきます。
 呪術の遺産を受け継ぐ彼らは、@葬礼などを扱う巫祝カーストへ転じたり、A各地に離散させられた立場を逆に活かして交易集団となったりしました。
 @の例は、たとえば孔子その人であり、また荘子(荘周)、また『離騒』で知られる楚国の巫祝団もそうだったといわれます。孔子はあえて自らの背負っていた呪術性を否定したが、しかし彼の〈精神性〉は、まさしく呪術の遺産によって育まれたものでした。
 Aについては、今にも残る〈商人・商業〉という言葉じたいが、その証明となっています。古代中国の交易の起源は、離散させられた商族のネットワーク活動にあったのです。
 亡国遺民が、このように、支配構造の隙間で屈折を持って輝いたり、流動性を担ったことは、ヘブライ人やハザール人の運命ともよく似ていると思います。
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(転載以上)

殷(商)族が、呪術や漢字を必要としたのは何故なのだろう?未だ武力の差がそれほど大きくない多くの部族集団、部族連合を呪術や占いで統合しようとしたからではないだろうか?そして、言葉も異なるので、それを漢字という表意文字で表現したのだろう。
さらに、殷(商)族は、離散後交易ネットワークを築いたというが、それはその後にどうつながっていくのだろうか?
 
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