実現論を塗り重ねてゆく
241168 気候変動と遊牧民の起源・移動
 
井上宏 ( 40代 新潟 建築コンサル ) 10/11/24 PM01 【印刷用へ
牧畜・遊牧の起源と移動について安田善憲氏の著作をもとにまとめてみたものです。

●第一段階:家畜化の時代(牧畜民の始まり)
地球が急激に温暖化した1万年前に西アジアのレバント地方北部からトルコ南東部そしてイラン・イラクのザグロス山脈の山麓で引き起こされた。考古学の時代では、先土器新石器時代B(PPNB)期と呼ばれる時代に相当していた。最初に家畜化されたのはヤギ、やや遅れてブタとウシが家畜化されたとみなされている。その家畜化は農耕と密接な関係の中での家畜化であった。

※今でも、シリアやトルコのヒツジやヤギの牧畜は、農耕集落から1日行程で帰ってくることが出来る範囲のものが多い。(このような形態をオアシス型の牧畜民と呼ぶ、オアシス等での農耕と密接に結びついている。)

●第二段階:遊牧(ステップ遊牧民)の始まり
 完新世の気候最適期(ヒプシサーマル期)が終焉する5700年前の寒冷期への変わり目に起こった。乳しぼりと去勢の二つの技術を前提として、遊牧という生活様式が完成。その背景には馬の家畜化によって、大きな群れを管理できるようになったこと、青銅器の利用で馬具も発達し長距離の移動が可能になったことがある。
こうして農耕民から自立的に存在できる遊牧民(ステップ遊牧民)が登場した。

※この動きは、中央アジアorユーラシアのオアシス農耕民が寒冷化・乾燥化の過程で草原に進出か?
※セム・ハム語族の中央アジアからの南下・移動期(6500〜5000年前頃)とやや重なるが、彼らはどちらかというとオアシス牧畜型に近い。むしろステップ型の印欧語族に押し出された可能性が高い。そして押し出された彼らが5500年前頃に誕生した古代文明(シュメール・エジプト)をもたらした?
※古代文明が発展したインド北西部から地中海東岸にかけて、この地域では湿潤から乾燥への移行が引き起こされ、それゆえに人々は大河のほとりに集中し、古代文明を誕生させるきっかけになった。

●第三段階: 印欧語族の移動期
 4200年前の気候の寒冷化を契機として引き起こされた。馬車の登場によって大規模な移動が可能になり、馬具の製作も一層盛んとなった。これ以降遊牧民は、農耕民を襲うようになる。

・印欧語族の移動によってバイカル湖付近まで、白人系が進出、それに押出されて中国西北部にいた遊牧民が南下、中国で龍山文化。
・4500年前 長江文明の遺跡が突然爆発的に巨大化する。既に北方遊牧民と緊張関係にあったと思われる。しかしその巨大化した都市が4000年前に忽然と姿を消す。気候の寒冷化による北方からの金属製の武器を持った遊牧民の南下が、長江文明の崩壊を導いた。

●第四段階:
3500年前〜3200年前 寒冷化
 この気候悪化のなかで遊牧民は新た技術革新をなしとげる。騎馬に必要な鎧やくつわを鉄器で作り、さらに鉄製の弓や武器をいち早く手に入れ、騎馬軍団が出現。
この軍団の力を背景として、遊牧民による巨大帝国が誕生する契機になる。

参考:「稲作漁撈文明」安田善憲
  52477 ステップ遊牧民と砂漠・オアシス遊牧民の起源

 
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