採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
240886 黒海の氾濫による農耕民の移動
 
村田頼哉 ( 38 高知 企画 ) 10/11/17 PM00 【印刷用へ
地中海の海面水位は氷期と間氷期のサイクルの中で上昇と下降を繰り返していたことが知られている。黒海の場合にも同様であり、最終氷期極寒期以降、雪解け水が流入したことで水位が上昇し、サカリャ川からアナトリアを通ってマルラサ海へと流れていた。ところがヤンガードリアス期になると、乾燥化により降水量が減少したことでサカリャ川の入水口より水位が低下していた。
しかし、地中海の海面水位が宗新世の気候最適期の時代にゆっくりと上昇を始め、7600年前にマルマラ海峡の海水が現在のボスポラス海峡周辺の細い陸地を乗り越えて黒海に流れ込んだとされている。

黒海沿岸には人々の集落があり、肥沃な三日月地帯から伝わった農耕が行われていたと考えられている。8200年前に西アジアで寒冷・乾燥化したため、農業に適した黒海沿岸に多くの人々が移り住んだとされている。
そして、湖畔に住む彼らに地中海に流入した海水が襲いかかり、湖水面は2年間にわたって1日平均15cmずつ上昇したため、黒海沿岸で農業を営んでいた人々は、新天地を求めて離散し、彼らの移住とともに農業技術が各地に伝播していったようです。

黒海北東のドナウ川流域では、7300年前に最初の農耕集落が現れる。バルカン半島では7000年前、イタリア半島では6500年前も農耕が行われた遺跡が発見され、5500年前にはフランス北部にまで広がり、ブリテン島でも5000年前には農耕が開始されているようです。

ブリテン島沿岸部の遺跡をみると、魚介類を採取する生活から突然に拠点を陸上に変えた形跡が残っており、農業はゆっくり浸透していったのではなく、定住していた人の間でいったん普及するや、あっという間に農業に適合した生活に転換したことがわかる。農業は、ヨーロッパ北部に住む人々にとって十分魅力的であったと思われる。

また、黒海沿岸から逃げていった人々は、西方のヨーロッパだけでなく、東の方向にも移住したと考えられる。黒海とカスピ海の間に位置するコーカサス地方の遺跡には、高度な農業技術がいきなり出現した痕跡があるが、メソポタミア文明を築いたシュメール人は、セル系語とは違う言語を用いていたことから、この北方に故郷を持つ人々の子孫であったと考えられている。

参考図書:気候文明史/日本経済新聞出版社/田家 康
 
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