ビル・トッテン氏のお話にはいつも「なるほど!」と感心させられるのですが、それとは別に前々からふとした疑問を抱いていました。
それは「なんでこの人、こんなに親日的なんだろう?」ということ。
それにまつわるエピソードを見付けたので転載します。
国際派日本人養成講座より引用(リンク
<以下引用文>
■3.日本では親から教わった考え方でうまくいく■
トッテン氏が、「日本をここまで繁栄させ、安全で、健全で幸福
な国にした価値観や慣行」というのは何か。トッテン氏は69年に日
本に来て、次のように感じたという。
日本人の考えていることは、私が小さいときから両親に教え
られたことについてよく似ていたのである。
氏の父親はカリフォルニアで小さなエンジンの修理会社を経営し
ていた。氏が父親から教わったのは、
父の考え方は、お客さんはたいせつだ、会社の目的はお客の
役に立つことだ、役に立てばその会社は利潤をあげることがで
きる、というしごくまともなものだった。(中略)
1969年に日本に来たときには、私が日本で、アメリカの会社
で覚えた(利益中心で顧客の事を考えない、JOG注)ビジネス
のやり方をしようとすればするほど取引はうまくいかず、自分
流でやるとかえってうまくいくようなことが多かった。
そんな試行錯誤の中で、ああ、この国でのやり方は、自分が
親から教わったやり方と同じでいいのだとわかってから、だん
だんこの国が好きになってきたのである。
トッテン氏の会社が大きく伸びたのも、この親から教わった考え
に忠実に従ったからであると言う。
(中略)
■5.大金持ちになろうという野心がなくなった■
「日本に来てこういう社会を知るようになってから、私はアメリ
カでの若い時代のように、うんと働いて大金持ちになろうという野
心がなくなった」という発言はきわめて興味深い。「こういう社
会」とは:
いま、私の住んでいる町は、隣近所に大きな会社の役員が二
人いて、この家にはときどき黒い車が迎えにきている。すぐ近
くには、独身の学生さんとお巡りさんが住んでいる。日本の町
には、会社の社長でも、サラリーマンでもお巡りさんでも、商
店主でも学生でもみんな一緒に住んでいて、生活ぶりもそれほ
ど極端にはかわらない。(中略)
これが、もしアメリカだったら、私の住んでいるような町に
は貧乏人しか住まないだろう。そして、たとえば、ビバリーヒ
ルズのようなところには金持ちしか住んでいない。それが金持
ちと貧乏人が画然と分かれた階層社会の特徴なのである。そし
て、金持ち=経営者・株主が、貧乏人=社員・労働者を使い捨
てにしている。こういう社会では、企業や経済を支える人的資
源が育たないのが当然というものではないか。
■6.生活の幸福感とは■
アメリカの都市は、安全で美しい高級住宅地、犯罪の多発するス
ラム街など、階級ごとに棲み分けされており、どこに住んでいるか
で、その人の社会的地位も推察できる。こういう社会であれば、若
者はとにかく金を貯めて、より高級な場所に住みたいと熱烈に願う。
しかし、そうした富への欲求のあまりに、生活や仕事での真に大
切なものを見失ってしまう恐れがある。
近所の小さな薬局は、大型スーパーなどにくらべるとたしか
に値段は少々高いかもしれないけれど、家族の一員が夜中に熱
を出したときなどに、トントンと戸を叩いてお願いすれば解熱
剤を売ってくれる。小さな魚屋さんも、日ごろから顔なじみに
していれば、こちらの好みの魚や注文品を市場で見つけてくれ
る。電器屋さんにしても、テレビのアンテナがこわれたといえ
ば、すぐに来て修理してくれる。(中略)
多くのアメリカ人が日本に来て、町の小さな商店がたくさん
あることにホッとするというのも、そういう町にこそ、本来の
意味でのコミュニティーを見る思いがするからなのである。
(中略)
そういう人間関係の中にこそ、生活の幸福感のようなものが
あるのだと信じている。
<引用終わり>
アメリカ生まれ、アメリカ育ちのトッテン氏が日本に強く惹かれたのは共同体としての意識が残る庶民の文化・風習に対してだったようです。
アメリカ人でも日本の商店街にホッとしたものを感じるというのは興味深いものを感じました。 |
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