国家の支配構造と私権原理
239604 10/17なんでや劇場(2) 原始時代〜部族連合時代〜武力支配時代
 
冨田彰男 ( 47 兵庫 経営管理 ) 10/10/19 PM03 【印刷用へ
【1】原始時代
原始時代の単一集団は共認収束によって統合されていたが、その統合様式はサル以来の進化段階をなぞっている。原猿段階の親和共認(ex.歩行訓練→踊り)⇒真猿段階の闘争共認(課題・役割・評価の共認)というサル時代に形成された共認機能を土台に、最先端に人類固有の観念機能(精霊信仰)を塗り重ねて作動させている。

ここで注目すべきは、最先端の収束対象が何か?
想像を絶する自然外圧に対応するために、人類が収束したのが精霊信仰であり、このことを「期待」という概念で捉え返すと「生存期待」というものになるだろう。生存期待をかけて自然と対話し、精霊信仰に収束した。これが原始人類の最先端の姿である。

【2】部族連合の時代
人口が増加し、部族同士の緊張圧力⇒一部では戦争が始まっている。しかし、巨大帝国は成立していない段階。そこでの外圧は原始時代とどう違うのか? 期待や共認の中身はどう違うのか?

富族強兵共認という現実の共認と守護神信仰という二つの共認が並存しているが、どちらが強いor先端共認なのか?

この時代は同類闘争圧力は高まっているものの、依然として自然圧力>同類闘争圧力である。この時代には既に富の拡大欲求や私権意識は登場しているが、それは自然外圧⇒物的欠乏がなければ登場しえない。

原始時代まで人類は200万年以上もの間、自然圧力に対応するために精霊信仰に収束していたが、部族連合時代の守護神信仰も、その基本構造は精霊信仰と代わっていない。加わったものは同類闘争圧力であり、それに対応して富族強兵共認が生まれ、それが守護神信仰に収束した構造。つまり、守護神信仰がこの時代の先端共認である。

従って、この時代は、神官が王や将軍より上であるというのが常態化していた。いわゆる神権政治である。その典型がインドのバラモン階級である。

ここで注目すべきは、富の拡大欲求や私権意識などの欠乏の全てが守護神信仰に包摂されているという点である。このことは、精霊信仰的な意識構造が如何に強く部族連合の時代にも残存していたかを示している。

部族連合時代の構造をまとめれば、
自然圧力×同類闘争圧力⇒富族強兵共認⇒守護神信仰で統合。
社会期待という概念で捉え返せば、原始時代の生存期待の上に同類闘争上の勝利期待が加わったということ。だから、この時代の人々は、生存期待も勝利期待も含めて全ての期待をかけて、守護神や祖霊に祈っていたのである。

【3】帝国による武力支配の時代
この時代の圧力構造は、自然圧力×同類闘争圧力に支配圧力が加わっている。従って、富国強兵共認+支配圧力に対応する身分序列共認によって統合されている。

ここで、富国強兵共認と身分共認は現実の共認であるが、精霊信仰⇒守護神信仰的なものはどうなったのか?

それに代わったのが古代宗教であるが、守護神信仰の神々と宗教の神や「天」等には大きな違いがある。守護神信仰の神々には人間臭さがあって、良い神さまもいるが、悪い神もいて大酒を飲んだり暴れたり強姦したりしている。ところが宗教上の神は、完全無欠の存在として登場してくる。なぜ、このような完全無欠の神が必要となったのか?

支配圧力⇒力の序列原理⇒永世固定の身分制度によって、民の苦しみが常態化し、救い期待(欠乏)が登場した。この救い期待がなければ奇麗事のような宗教(神)が登場する余地はない。

そして、苦しみの原因が富の拡大欲求や私権意識にあることは明白なので、富の拡大欲求や私権意識といった人間の醜い部分を捨象した本源風の普遍的な価値を掲げた古代宗教が登場したのである。

古代宗教が登場した背景には社会統合機運(期待)があったというのが従来の認識であったが、この認識は修正が必要である。背景に社会統合期待があったことは否定できないが、それよりも強かったのは身分支配の苦しみ⇒救い期待であり、それに応える形で古代宗教が登場したのである。

部族連合の時代は、現実の富族強兵期待も闘争勝利期待も守護神信仰は包摂しており、守護神信仰に一元化されていたが、武力支配の時代は身分序列の共認をはじめとする現実共認と、非現実の宗教共認が(富や私権を捨象してしまったので)分裂し、社会共認が二元化している。

この分裂した現実共認と宗教共認のどちらが先端共認or上なのか?

この問題も、第一権力者が王なのか神官なのかが分かれ目になる。
中世〜近世のヨーロッパでは教会権力が王権をしのぐ時代があったが、それはヨーロッパの特殊性であって、世界的には元々は神権政治でも、その後、王と将軍がのし上がり、その国家機関に宗教が取り込まれるパターンがほとんどである。
 
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