前回は、私権意識の成立過程と、'70年以降の私権意識の衰弱過程を見てきた。そこでのポイントは3点である。
@近代社会は、豊かさ期待という一つの社会意志によって突き動かされてきた。
Aそれが
'70年、豊かさの実現によって私権意識が衰弱し始め、
'90年、バブル崩壊によって豊かさ期待がほぼ消滅し、
'08年、世界バブル崩壊によって私権観念が死亡した。
'10年、豊かさ期待に代わって本源期待が生起してきた。これは、共同体の時代が始まったことを意味する。
Bしかし、新たな社会意志である『本源期待』の中身が未だはっきりとは掴めていない。
そこで、これまでの社会期待or社会共認の歴史を振り返り、その中身を明らかにすることによって、現在〜近未来の社会期待or社会共認の中身を明確に浮かび上がらせる。それが今回のテーマの目的である。
かなり難解なテーマであり、「収束と統合」という概念を知らなければ理解できない。
<収束と統合>
収束とは、一点に集まっていく事。生物は、外部世界に適応しようとして先端可能性(与えられた状況とそれに対応する諸機能のうち、最も可能性のありそうな対象とそれに対応する機能)に収束する。先端可能性に収束する事で、個体(の意識)や集団や社会は秩序化され統合される。
例えば、私権時代であれば、万人が私権(お金や地位)という一つの価値or目標に収束することによって社会が統合されている。
このように、社会共認の歴史も、各時代の共認がどこに収束し統合されているかが焦点となる。
社会共認の歴史区分は次の6区分。
【1】原始時代
【2】部族連合の時代
【3】帝国支配の時代
【4】近代市場社会
【5】'70年豊かさ実現以降の時代
【6】現代〜近未来はどうなるか? |
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