日本を守るのに、右も左もない
239391 キリシタン宣教師の野望(2)
 
佐藤祥司 ( 壮年 設計 ) 10/10/15 PM00 【印刷用へ
つづきです。以下引用
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■4.人類の救済者■
 宣教師は教会のほか、学校や病院、孤児院を立てた。地球が球形であることを伝え、一夫一妻制を守りるよう説いた。これらにより、キリスト教の信者が西日本を中心に増えた。この当時、キリスト教とその信者をキリシタンといった。

 中学歴史教科書の一節である。同じページにはザビエルの肖像画があり、そこに記されたIHSという文字について、「イエズス会の標識で『耶蘇、人類の救済者』の略字」と説明される。キリシタン宣教師達は、まさに未開の民に科学と道徳を教え、社会事業を進める「救済者」として描かれている。

 数ページ後には家康によるキリシタン弾圧が次のように描かれている。
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 家康は貿易のために、はじめキリシタンを黙認していたが、やがて禁教の方針をとった。信者に信仰を捨てるように命じ、従わない者は死刑にした。

 さらに家光が、「キリシタンを密告した者に賞金を出すなどして、キリシタンを完全になくさせようとした」事を述べ、厳しいキリシタン取り締まりに島原・天草で約4万人の農民が一揆を起こして、「全滅」した事を述べている。
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 この教科書を読んだ中学生は、「救済者」達に対するなんと野蛮な宗教弾圧かと思うであろう。しかし、なぜ家康は黙認から禁教へと方針を変えたのか、については一言も説明がない。秀吉も同様に、初めのうちはキリシタンを奨励していたのに、急に宣教師追放令を出している。いずれもキリシタン勢力から国の独立を守ろうとする秀吉や家康の防衛政策なのである。

■5.日本準管区長コエリョの秀吉への申し出■
 キリシタン宣教師の中で、イエズス会日本準管区長ガスパル・コエリョは、最も行動的であった。当時の日本は準管区であったので、コエリョはイエズス会の日本での活動の最高責任者にあたる。

 天正13(1585)年、コエリョは当時キリシタンに好意的であった豊臣秀吉に会い、九州平定を勧めた。その際に、大友宗麟、有馬晴信などのキリシタン大名を全員結束させて、秀吉に味方させようと約束した。さらに秀吉が「日本を平定した後は、シナに渡るつもりだ」と述べると、その時には2艘の船を提供しよう、と申し出た。当時、日本には外航用の大艦を作る技術はなかったのである。

 秀吉は、表面はコエリョの申し出に満足したように見せかけながらも、イエズス会がそれほどの力を持っているなら、メキシコやフィリピンのように、我が国を侵略する野望を持っているのではないかと疑い始めた。

■6.コエリョの画策とバテレン追放令■
 翌々年、天正15年(1587)に秀吉が九州平定のために博多に下ると、コエリョは自ら作らせた平底の軍艦に乗って、大提督のような格好をして出迎えた。日本にはまったくない軍艦なので、秀吉の軍をおおいに驚かせたという。

 その前に秀吉は九州を一巡し、キリシタン大名によって無数の神社やお寺が焼かれているのを見て激怒していた。秀吉は軍事力を誇示するコエリョに、キリシタンの野望が事実であると確信し、その日のうちに宣教師追放令を出した。

 コエリョはただちに、有馬晴信のもとに走り、キリシタン大名達を結集して秀吉に敵対するよう働きかけた。そして自分は金と武器弾薬を提供すると約束し、軍需品を準備した。しかし、この企ては有馬晴信が応じずに実現されなかった。

 コエリョは次の策として、2,3百人のスペイン兵の派兵があれば、要塞を築いて、秀吉の武力から教界を守れるとフィリピンに要請したが、その能力がないと断られた。コエリョの集めた武器弾薬は秘密裏に売却され、これらの企ては秀吉に知られずに済んだ。
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以上引用終り(つづく)
 
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239398 キリシタン宣教師の野望(3) 佐藤祥司 10/10/15 PM03

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