日本人と縄文体質
238178 「漢字・ひらがな・カタカナ」メモ 7 実体に根ざした観念力
 
阿部佳容子 ( 48 大阪 営業 ) 10/09/20 PM00 【印刷用へ
日本語の文字の出自は、中国語=漢字。本家では主に観念を伝達する手段として使われていた文字を、自在に発展させてあらたに2つの文字系をつくり出し、潜在思念に即した微妙なニュアンスを伝える日本語を再構築した日本人。その観念力は、常に実体に根ざし、現実から離れることのない、本源的観念力といえます。

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・暴走族関係の人たちが町のあちこちにペンキで落書きをしていました。その定番が「夜露死苦(よろしく)」という当て字です。あの「夜露死苦」という落書きは、日本人の思いをいまに伝える万葉仮名の伝統を踏んだ絶妙な当て字です。「ヨロシク」とも「よろしく」ともまったく違う意味が感じられるからです。万葉仮名は、ひとつの音に、いろいろな漢字を当てはめることで、もとのやまとことばが持つ、さまざまなニュアンスを自在に伝えていたのです。

・俳句も歌も「型」が決まっています。俳句であれば「5・7・5」、短歌なら「5・7・5・7・7」というように、音の数が決まっているのです。これはとても不自由なことですが、そうした「型」に収めていく作業をすることによって、むしろ言葉の研磨が行なわれ、表現する感性は研ぎ澄まされていくのです。日本人の記憶に残りやすい言葉は、みなこのリズムに当てはまっており、これも「型」の効用を確立していった結果です。

・日本人の仮名の作り方を見ていると、良くも悪くもそこには本家本元に対する敬意はあまり感じられません。そこにあるのは「もらったものは私のもの」という自由奔放さだけです。ひらがなとカタカナ、日本人は、それぞれに違ったニュアンスを感じます。曲線で構成されているひらがなは、柔らかく日本的なイメージがあり、直線で構成されたカタカナには堅く、外来的なイメージがあります。文字自体にこうしたニュアンスがあるのは、世界的にはとても珍しいことです。

・ひらがなは、日本人にとって、単に便利だというだけの存在ではありません。日本ならではのやわな感覚や、女性的な感覚を表現する画期的な道具であり、最強の武器でもあるのです。

・「幸福」「社会」「権利」「演説」「民族」「国家」「宗教」「信用」「科学」「芸術」「理性」「技術」「国際」「基準」「哲学」「革命」「思想」「心理」「意識」・・・。これらはすべて明治に生まれた翻訳語です。明治の初期に、膨大な外来語を漢字を用いて翻訳できたのは、当時の日本人に漢字の素養があったからです。つまり、明治の日本人は、漢字を自在に使えるという技術をフルに活用することで言語の精度を高め、それによって西洋文化を自分のものとし、近代化にいち早く成功したのです。

・日本語というのは、もともとは感覚的な表現を得意とする、やまとことばから始まっています。そこに、抽象的な概念や、豊富な記述様式を持った中国語が入ってきたことにより、日本語は大きく飛躍します。そして仮名の発明により、感覚的な表現力を維持したまま、新たな概念を取り込むことで、論理的な思考ができる言葉にブラッシュアップされました。さらに、明治期に欧米のものの考え方が入ることによって、日本語は、現在のワールドワイドな、いわば和洋中の粋を集めたようなすごい言語へと仕上がっていったのです。

「斉藤孝のざっくり!日本史」

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