今後の企業の可能性を探っていく上で、現在の企業の置かれている状況をおさえていきたいと思います。『社労士は見た!中小企業を伸ばす社員育成の極意(著:伏屋喜雄)』より引用します。
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従業員30人の刃物製造会社のことである。課長になって15年、1年前に新課長ができ、何かにつけ社長は15年経った課長と比較をするようになった。15年も経ってこの程度の課長なのか、1年しかまだ経っていない課長にもすでに抜かれているというのであるが、これまで取り立てて課長教育をしたわけでもない社長にとっては少し15年経つ課長がお荷物になってきていた・・・。
多くの場合、小さな企業であればあるほど、一般的には勤続の長い者ほど、上位の職位に配属されるという傾向がある。無論、経験や勤続年数が能力や賃金と相応し、問題がなければこれほど素晴らしい年功序列型の人事制度もない。むしろその方が波風も立たず組織の機能を活発化する上でも、当然そのほうが波風も立たず組織の機能を活発化する上でも、当然そのほうが良いのである。
しかし多くの現場が技術の革新によって、また実力主義の社会風潮によって、さらには経営成績の鈍化や低落傾向に伴い必ずしも年功序列だけでうまい人事がとれるとは限らなくなってきている。むしろ若手の台頭により、多くの企業で賃金も職位も役割もかつての日本の雇用形態を大きく様変わりさせているといっても過言ではない。
1年の課長経験しかない若手課長と、15年の課長経験のある中年課長とでは、当然賃金差は勤続の長い者ののほうが高い傾向があり、この職場もまたそうである。社長の目からすれば、1年と15年の課長を比較するのは当然であるのかもしれない。しかし、15年の課長からすれば、それほど波風も立てずやってきたわけであるから、1年生課長の到来は自分にとってはよくいえばライバルであり、悪くいうえば敵でもある。しかし、どこかで本人が気づき、15年のキャリアを活かした仕事をしてもらわなければ、会社としては無用の長物になりかねない。
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