日本人と縄文体質
23275 階層意識を考える(2)
 
槇原賢二 ( 30代 大阪 塾講師 ) 02/02/07 PM02 【印刷用へ
階層意識を考えるとき、出てくる言葉として、マルクスの『共産党宣言』の冒頭にある次の言葉があります。
「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である。」

これは、ヨーロッパ社会の思想の根底にある階層意識をずばりと言い当てたものです。日本人には実感として感じられないのは、階層意識の深さの違いからくるのではないでしょうか。また、歴史をふりかえると、マルクス主義の主張が政治の上で具体化されたのはヨーロッパとして辺境の地である東ヨーロッパであり、思想的な表舞台である西ヨーロッパでは深く根をおろしていませんでした。

ところで、東ヨーロッパでマルクス主義による政治が具体化されたとき、教育改革でまず手をつけたことは、特別の補習学校をつくったり、大学の入学定員枠を労働者・農民にだけ広くするなど、労働者・農民の子弟を優先的に高等教育機関に送り込むことだそうです。マルクス主義者は、政権をとると、意識的な差別政策をとり、伝統的な階層意識に立ち向かうために、裏返しの階層意識を持ち込むということになります。これはヨーロッパ社会が階層意識の思想からぬけだせない宿命ともいえます。

ヨーロッパとして辺境の地である東ヨーロッパでマルクス主義が具体化したのは、社会の近代化との関係が大きいと思われます。当時の西ヨーロッパに比べて、経済的な後進性が大きく、身分制度が残り階層の固定性が大きい社会では、大衆の物質的な豊かさ、自由欠乏への要求を充たすために裏返しの階層意識を利用する方法がとられたということです。また、国全体として先進国に追いつく必要性も大きかったからです。すでに古い身分制度から開放され、表層的には階層差別はひどくなく、経済的な発展により物質的豊かさの実現されつつあった西ヨーロッパでは、根底には階層意識が残っていても、個人の自由欠乏を実現し充たすための「民主主義思想」が強調されました。

西ヨーロッパやアメリカで、マルクス主義の戦闘的な裏返しの階層意識を持ち出すことは、眠らせている階層意識に火をつけることなり、ある意味で寝た子をおこすことになります。西ヨーロッパやアメリカで、マルクス主義に強く反撥するのは、知識人・大衆ともに個人の自由の名のもとに、そっとしておきたい意識にわざわざ触れられなくないからです。

マルクス主義を生み出したのも、それに反撥するのも欧米に独特の階層意識からくるのです。

参考:『肉食の思想』(鯖田豊之)
 
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23417 私益私権の共認はおのずと階層を生み出し、階層を破壊し尽くしたときに私権社会が終わる@ 上平貴昭 02/02/08 PM09

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