試験・身分制度の根深い害
231928 『学力』とは何か?(内田樹の研究室)
 
yosshi〜 ( 31 東京 会社員 ) 10/05/20 AM00 【印刷用へ
「学力」について、興味深い切り口があったので紹介します。
(ブログ:内田樹の研究所リンクより引用)

■「学力」とは何か?
////////////////////////////////////////////////////////////////////
(引用開始)
ほとんどの人はこれを「成績」と同義語で、点数化し、優劣を比較できるものと思っている。
けれども、学力とは文字通り「学ぶ力」のことである。
それはたまたま外形的に成績や評価として表示されることもあるが本来はかたちを持たないものだ。
というのは、「学ぶ力」とは「自分の無知や非力を自覚できること」、「自分が学ぶべきことは何かを先駆的に知ること」、「自分を教え導くはずの人(メンター)を探り当てることができること」といった一連の能力のことだからだ。
これらの力は成果や達成では示されない。
学ぶ力は「欠性態」としてのみ存在する。
何かが欠けているという自覚の強度のことを「学ぶ力」と呼ぶのである。
「おのれの未熟の自覚」、「ある種の知識や技能についての欠落感」、「師に承認されたいという欲望」といったものは存在するとは別の仕方で私たちの生き方に深い影響を及ぼすのである。
「学ぶ力」は欠性的にしか存在しない。
だが、それを励起し、支援し、開発するための実践的プログラムはもちろん存在する。
経験を積んだ教師はそのことを知っている。

悪い方の例だけを挙げるが、例えば「成績が悪いと社会下層に格付けされる」という恐怖心は学習の動機づけとして間違いなく有用である。
この「恐怖心」は実際には「未来において自分が失うかもしれないものについての欠落感の先取り」という複雑な心理操作を子どもに要求している。
そして、経験が教えるのは、恐怖心の強い子どもほど高い確率で「ガリ勉」になるということである。
この子どもの「学ぶ力」の中核にあるのは「恐怖心」である。
「先取りされた喪失感」もまたある種の欠性態であることに違いはない。ただ、それは同学齢集団内の競争で相対優位をめざす以上の目標を持たない。
だから、「恐怖心の強い子ども」は自分の成績を向上させるのと同じ努力を(場合によってはそれ以上の努力を)競争相手の成績を下げるためにも注ぐことになる。
私はそのような努力を「学ぶ力」とは呼びたくない。
(引用終了)
////////////////////////////////////////////////////////////////////
・常に「無能の自覚」があってはじめて、「学ぶ力」は向上していく。
・現在の受験制度においては、子供達が学ぶ動機は将来への「恐怖心」でしかない。
 
  List
  この記事は 183095 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_231928
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp