国家の支配構造と私権原理
231654 明治初期の国家政策と共同体の崩壊 【その1】
 
火中の栗 ( 40代♂ ) 10/05/15 AM00 【印刷用へ
>明治政府は、封建領主ですらしなかったような、まさに掠奪的地租を賦課して農村を荒廃に導いたのである。それは予定されたことで、いわゆる資本の原始蓄積、産業の資本造出のための手段であることは明らかであった。2796

明治初期における国家政策はどうであったか?


■■国家収入の安定化が喫緊の課題

明治新政府にとって、欧米列強に伍するため国家財政を安定させることが急務であった。
そのためには安定した税収=封建的諸制度の改革は必須であり、その税によって殖産興業・富国強兵を図ろうとした。

次に、殖産興業のためには、誰を資本投資家にするか、誰を労働力の担い手にするかも、重要な課題だった。

具体的に言えば、当時は地租が国家収入の90%を占めており、地租の近代化と、農村に依存する封建制からの脱却⇒産業構造の近代化が求められていた。


■■地租改正の経緯

1870(明治3)年6月、薩摩の大久保利通(41歳)・松方正義(36歳)と長州の井上馨(36歳)らは、地租改正意見を提出。

1871(明治4)年9月、「田畑勝手作」が許可され、利潤追求のためにどのような作物も栽培可能に。

12月、華族・士族・卒族に職業の自由を公認。

1872(明治5)年2月、地価を定めるために、「田畑永代売買」の解禁を布告。その内容は、次の通り。
(1)地目・反別・地価を記入した地券(土地所有権確認書)を発行し、年貢負担者(地主・自作農)に交付。その結果、封建的領有制が解体。
(2)地価は、田畑面積・収穫高・平均米価等による土地価格。
(3)土地は、不動産として所有権を明確化され、ここに土地の私有制度が確立。

1873(明治6)年7月、地租改正条例公布。徴税の主役を農民とし、江戸時代の歳入を減じないという方針で、その骨子を決定。
(1)課税基準は、江戸時代の石高(玄米収穫高)を廃止し、地価とする。
(2)納税法は、江戸時代の現物納を廃止し、金納とする。
(3)税率は、地価の100分の3(3%)とし、地租の3分の1を民費として金納し、地方税に充てる。
(4)税率は、豊凶に関係なく一定とする。
(5)納税者は、江戸時代の耕作者を廃止し、地券の所有権者(地主)から取り立てる。
 

■■地租改正の結果

(1)国家財政に占める地租の割合は、1874年(80%)、1877年地租2.5%に引き下げ(70%)、1887年所得税導入(42%)、1891年(36%)と年々減少。地租の割合の減少は、それ以外の課税対象(所得税・法人税)が生まれたこと、すなわち農村依存から脱皮し、産業構造の近代化が進んだことを意味する。

(2)年々上昇する地価に課税したり、税率を豊凶に関係なく全国一律にし、金納化することで、国家歳入が計算できるようになった。この結果、近代的租税体系が確立。

(3)税金の金納化は、現金化できる商品や付加価値の高い商品の開発・生産を促し、より資本主義化を進めることになった。


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