法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕
231411 【統合気運】官僚による官僚制度改革の提言
 
野田雄二 ( 48 大阪 営業 ) 10/05/09 PM01 【印刷用へ
現役の中央官僚である岡本正勝氏がホームページで官僚制度の改革について提言しておられましたので抜粋して紹介します。

過去、日本の官僚が優秀だったのは手本となる欧米があったから、今の日本の官僚は幕末の幕府官僚と同じで改革停滞の元凶になっている、といった分析は現実をきちんと把握していると思いました。

しかし、その結論であるスーパーゼロ種官僚と言う発想は、官僚制度の部分改良で何とかしようとするレベルの改革案であり、「徴兵制ならぬ徴員制の提案230596」のような抜本的な改革と較べると、官僚という枠の中でしか思考できない限界も感じられました。

提言・国家官僚養成リンク
提言・国家官僚養成2リンク

「国家官僚」の養成に向けて、人事制度を改めよ
省庁にとらわれない、「スーパーゼロ種官僚」の創設を

■「官僚」の二文字が意味するもの

一人の官僚として、現在の霞が関は、非常に残念な状況です。

日本社会が、ヨーロッパへのキャッチアップを果たし、豊かさを獲得して、新たな社会構造へ方向転換をしようとしています。なのに、最も変化の流れに乗り遅れているのが、官僚機構だと思います。

各省もしくは各局ごとの官僚は、各々の持ち場で頑張ってはいるのですが、局や省にとらわれず国家全体を見渡す官僚、すなわち「国家官僚」がいない、同時にその仕組みもない、ということです。

どんなに個別セクションごとに頑張っていても、全体として国民の求める期待から乖離し、ズレが生じてしまっているのです。

今まで、官僚機構が機能を果たすことができた理由は、まず目標が明確だったこと、そして手法が簡単だったことにほかなりません。目標とは、欧米に追いつき、追い越すこと。手法とは、補助金その他の財源を投じてモノを作ること。すなわち、公共事業やナショナル・ミニマムの行政サービスを提供するといったことなどです。

それが目標を達成したときに、次なる目標に速やかに転換すべきだったのに、組織と人が未だに発展途上国当時の思考にとどまっている。だから現在の問題に対応できなくなっているのです。

日本社会が必要とする変革を見出し、そのために改革を提唱することも、官僚に対する国民の期待です。

ですが、現状では日々公務員としての仕事はこなしつつも、官僚としての役割は果たしていると言い難い。これが冒頭の、官僚として非常に残念な状況の背景です。

■三つの原因

その原因を分析すると、以下の三点に集約されると思われます。

@大学教育におけるフィールドワークの欠落

官僚のほとんどは法学部か経済学部の出身ですが、法学部はできた法律の解釈学に没頭し、経済学部も既存の経済理論を反復するばかりで、何かを造る、生み出すという訓練がなされていません。

まず官僚になる前の教育段階で、国民の不満を吸い上げ政策に反映させるための理論と実践をまったく学んでいないのです。

A入省後における国家的視点養成の欠如

採用後は、各セクションで与えられた法律の解釈と実行をこなすばかりなので、省の枠をこえ、日本全体のこと国民のことを考える意識が次第に希薄になり、目の前の仕事しか見えなくなってしまいます。

B官僚個人が実名で国の政策を論じ、発言する場が皆無

局や省を超えた国家のあるべき論を主張できる場、機会、媒体は無きに等しいといっても過言ではありません。官僚はもっと、恐れず、はばからずに発言すべきです。

このように、入省以前から入省後、そして官僚生活が定着するまで、こうした悪循環が続き、国家全体を考えなくなります。結果として、官僚に対する国民からの信頼は、ますます低下してしまいます。

思い出すのは今から二十五年前、私が入省したばかりのころ、先輩からこんな謎かけをされました。「岡本君、今の霞が関は江戸末期の幕府官僚に似ているだろう」と。

これを現代に置き換えると、三位一体の改革がその象徴でしょうか。中央集権から地方分権へと構造改革を進めていく過程で、補助金削減については総論賛成各論反対により議論が停滞し、結局地方に改革案の作成をお願いすることになった。とはいえ、地方にできるわけがないと多寡をくくっていたところ、思いもよらず地方が案をまとめてしまった。こういう構図が、幕末のころと不思議なほど重なり合います。

■フリー・エージェント制導入で精鋭集団を

現在の閉塞感を改めるには、何より現行の人事・キャリアアップ制度を改める必要があります。各省ごとの人事管理を存続するのであれば、少なくともその上に、各省に属さず、日本全体を考える官僚集団を設定せざるを得ないのではないか。言うなれば1種の上に、「スーパーゼロ種官僚」を置く形です。所属としては内閣官房あるいは内閣府で、各省にも配属されます。

採用後しばらくは基礎教育を施すために、各省に入省させて訓練を積み、各局総務課長くらいになったら、プロ野球選手のようにフリー・エージェント宣言をさせて、出身省庁に残るか内閣に赴くか、本人の意思とやる気に委ねるというのはどうでしょう。各省ごとに現場経験を積んだあと、出身省庁のしがらみから離れ、国家官僚として内閣で国全体の問題を議論し、国の方向性を定める。そういう精鋭集団が、必要となるのではないでしょうか。

岡本正勝氏の略歴(ウィキペディア岡本全勝よりリンク
1955年 - 誕生。
1973年 - 奈良女子大学文学部附属高等学校卒業。
1978年 - 東京大学法学部卒業。
1978年 - 自治省入省。
1998年 - 省庁改革本部参事官。
2001年 - 総務省自治財政局交付税課課長。
2002年 - 東京大学大学院総合文化研究科教授。
2004年 - 総務省大臣官房総務課課長。
2006年 - 内閣府大臣官房審議官。
2006年 - 内閣官房内閣審議官。
2006年 - 内閣官房再チャレンジ担当室室長。
2007年 - 慶應義塾大学法学部講師。
2008年 - 総務省大臣官房審議官。
2008年 - 内閣官房内閣総理大臣秘書官。
2009年 - 消防大学校長。
 
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