日本人と縄文体質
228743 王権の生産1〜3を読んで3〜縄文を受け継ぐシャーマニズムを継承した(成りすました)天皇制
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 10/03/22 PM10 【印刷用へ
>一口に『王』といっても、中央集権の上に立つ絶対君主とはかけ離れた、連合体の最高首長にすぎなかった倭国王にとって、その存続のために、連合体が納得するための『正当性』を示す必要があった。後漢が衰退し始めた以上、冊封による正当性では心もとない。そこで登場したのが卑弥呼という存在であると、遠山氏は主張しています。卑弥呼とは、個人名ではなく、地位名であるとした上で、次のように述べていますので、引用してみたいと思います。

>「太陽の霊威をその身に付着させることのできる特殊な人格・女性」というその名義から推して、政治的統合の最高首長の首長権継承に正当性と荘厳性を宗教的に付与・保証する、呪術的資質をそなえた最高首長の近親女性だったのではないかと思われる。(遠山美都男著、大化改新より)

>稲作を中心とした農耕と、海産物(塩を含む)によって生きる倭国の人々にとって、太陽光と雨に代表される自然の恵みは、天・海・山・川に宿る神を敬うことによってもたらされるという自然信仰を持っていました。この「神」は、「畏れ」とも重なり、いわゆる「日本神話」として確立・利用される以前の、素朴な概念と言えるでしょう。・・・『最高首長である王は、この霊厳を身にまとった者によってその正当性を保証されたものとする』そんな合意が連合体によって確認されたということは、充分に考えられるのではないでしょうか。

つまり渡来人たちが自分たちの縄張り争いの果てに縄文以来の超越存在たる自然の行方を読み解く力を持ったシャーマンに、社会統合の基盤を預けた。そこに、後の天皇制にもつながる日本的王権の基盤ができたのだと思います。しかし、シャーマニズムが社会統合の基礎をなすというのは、日本に限定的なことではありません。土着民族を支配するために土着の王権に成りすますという擬制はあらゆる古代の周縁国家においてなされたことでしょう。隣国朝鮮も同時代は、シャーマニズムです。日本の特殊性は、そのようなシャーマニズムとしての天皇を近代になっても社会統合の象徴として見続けている、しかも、その社会統合の象徴の実態は、実は、縄文以来の母系統合イメージに成りすました渡来民の王だという事実を、直視していない、という点にあると思います。

>古墳に関しても、『正当性』の保証という位置付けができるのではないでしょうか。王の正当性を保証するものが、命に限りのある『人』では、あまりにも心もとないと考えられます。・・・大和地方を中心に、各地に作られた前方後円墳は、規模にこそ差があるものの、連合体に所属しているという証として、単なる首長の墓という以上の大きな意味があったのでしょう。そして、共通のシンボルとしての施設に、権力継承のための儀礼を執り行う場所という付加価値を与えたことで、王の再生産もまた、比較的スムーズに行えるようになったと考えられます。

>このような『正当性』を示さなければならなかったという事実が、王とはいえ、他を圧倒するような力の格差を持つまでには至っていなかったと考えられることに、わたしは注目したいと思います。『絶対的ではなく、相対的に力を持つ者に『正当性』を示すという条件を負わせることで、王として擁立する。そうまでしても、大規模で慢性的な戦争(内乱)を回避したかった。そしてまず形から入って、徐々に基盤と支配構造を確立していく。』

何故、日本だけがこれほどまでに巨大な古墳を必要としたのか、というのは古代史における最大の謎ではあるのですが、軍事力、支配力に劣るからこそ、象徴力、儀礼の力により傾斜していったという見方をすれば、あの巨大さも理解できるものがあります。
 
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