試験・身分制度の根深い害
228154 日本人を幸せにしない日本というシステム(1)〜民意は官僚や議員により歪められる〜
 
灼熱の闇 10/03/12 PM05 【印刷用へ
日本の官僚の問題については既に数多く報告されているが、改善策まで提言されているものは少ない。少し長くなりますが、紹介します。

日本人を幸せにしない日本というシステム(上)国民の意思がなぜ国政に反映されにくいのかリンク JANJANより引用します。

以下引用です。

私たちの民意は、まず官僚によって次に議員たちによって、きわめて歪められた形でしか政治や行政に反映されていないのではないか? 改善策を提言する。

日本ウォッチャーとして高名なオランダのカレン・ヴァン・ウォルフレン氏の著書のひとつに『人間を幸福にしない日本というシステム』(毎日新聞社・1994年)がある。これに倣って、特権とか政治権力とかいったものとは一切関わり合いを持たない(あるいは持てなかった)庶民のひとりとしての私も、独断と偏見の謗りは覚悟の上で、日本というシステムの問題点のいくつかについて考えてみた。まずはひとつ目から。


■国民の意思がなぜ国政に反映されにくいのか 

 これはウォルフレン氏が繰り返し主張されている点のひとつでもあるのだが、そもそも日本国民は、自分の「意思」を実行してもらうために、選挙で代弁者(国会議員)を選び、彼らに、そのための法律を作ること、また作った後の行政が、キチンと国民の意思に沿ってなされているかどうかを監視すること、このふたつの仕事を依頼した「つもり」である。なのに、どうも国民の意思が余り国政に反映されていないようなのだ。

 それは、たとえば時々の政治課題についての世論調査で、70%とか80%とかの圧倒的多数の国民の意思が示されたばあいでさえ、国民の利害を代表しているはずの政府が平然と、世論調査で表明された国民の意思を無視する場合がしばしば、という我々の長年にわたる経験からも言えることである。世論調査結果が政府の方針と大きく違うと、とかく与党側から「政治はpopulismに流されてはいけない」といった反応が出るものだが、私から言わせてもらうと「政治はpopulismであり、それ以外であってはならない」(もちろん、権力やメディアによる世論誘導はない、という大前提のもとでの話だが)。

 国民の意思がなぜかくも国政に反映されにくいのか? その原因の大きなひとつは、国政を実際に担っているのは、国会議員でも、国会議員の中から選ばれた行政府の長たる大臣でもなく、実は「公僕」たる官僚である、という公知の事実である。国会で成立する法律の9割が、国会議員の提出ではなく行政府からのもの(閣法=内閣が与党の承認を受けて提出する法案)であり、提出前に与党に回ってきても、実際にそのチェックに関与できる議員は、議員のなかのほんの一握りの「インナー」と言われる特別の(多くは官僚出身の)連中である(注1)。

 しかも、イギリスなどと違って日本では、国会議員と官僚の接触は野放しで、官僚が新しい法律案を作成したあとで、それを国会通過させる便法として、有力議員への「ご説明」と称する根回しが、恒常的になされている。(その点については、つい最近、首相の私的懇談会「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」が1月31日に答申した中での「政官接触の制限」は、期待薄ながらも、やらぬよりはまだマシの一歩前進になるのかどうか?)

 長年官僚によってなされてきたこの「根回し」によって、国民の意思を代表しているはずの議員が、はるかに法律に長けている官僚の説得にあっという間に納得・翻意してしまって、官僚(省庁)の意思(つまり「省益」)の方が通ってしまい、結果としていつも、国民の意思に逆らう国政がなされてしまうのだ。ここにこそ「官僚主導の政治がなぜいけないか」の答えのひとつがある。

 仮に国会議員のレベルがいかに低いとしても、国民がそういう人物を選んでいる以上、我々はそういう連中の行った政治の結果を甘受しないといけない。それが代議制民主主義というものだ。しかし国の政策が実際には、国会議員によってではなく、選挙で選んでもいない官僚によって、好きなようにやられていたとしたら? それは話が違ってくる。

 官僚主導の政治が、いかに日本に不幸をもたらしたか? 実例は余りに多すぎて選ぶのに困るのだけど、たとえば水俣などでおき、今も被害の続くメチル水銀中毒の大問題。それから、薬害で言うとHIV事件、ヤコブ病事件等々に続いての最近のC型肝炎事件。これら一連の、いまだ被害の続く事件に共通するのは、官僚(ここでは主に、厚生省→厚労省の)が、すでに一部の学者によって、あるいはアメリカ政府といった外部機関から警告が発せられていたにも拘わらず、それを無視して、長年にわたって大企業の利益を守ろうとした、そのために多くの国民が、仮に政府・行政が適切に対応してくれていたのなら罹らないですんだ健康被害に苦しむことになった、そういう「国民への重大な犯罪行為」である。

 健康被害のような、官僚が行った個々の犯罪行為については、xx省xx局のxx局長が重要な役割を演じた、という形で罪を問われるべきだが、多くのばあい実際には、省の意思として施策が決定され実施されているわけで、官僚全体の責任、というべき場合が少なくない。責任の所在がはっきりしないこと、これがほとんどの事件で官僚が処罰を逃れてきた理由のひとつである。

 官僚組織は一種のアメーバで、一か所を切られても平気で増殖し、変幻自在に生き延びる習性をもつ。「省益を守る」という意思は持つが、どこに「顔」があるのか「頭」があるのかは一般国民にはわからない。新しい仕事をさせられるのは負担だから、「変革」を嫌い、今までどおりを心掛け、過去のやり方を踏襲する。これが江戸幕府開府以来400年以上も「由らしむべし、知らすべからず」の大原則で実行してきた官僚の本音なのだ。

 それを端的に証明しているのが、情報公開や公文書保管に関する官僚の熱意の無さだ。後者でいうと、日本の国立公文書館の職員数はアメリカの2,500人、韓国の290人と比べてたったの42人。保管する文書のための書架の延長距離でも、アメリカは930km、韓国でさえ120kmもあるのに、日本はたったの49km(!!)。一事が万事! つくづく恥ずかしいし、情けない。

以上引用終わり。(2)に続く。
 
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