医療健康西日本新聞
【がん患者、元気です しゃべって笑って心に栄養】リンクより引用します。
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西日本新聞天神文化サークルで「元気が出るがん患者のつどい」を始めて8カ月が経つ。いわゆるカルチャーセンターの講座にがん患者会があるのはとても珍しいことで、もしかしたら本邦初の試みかもしれない。
月に2回、天神ビル(福岡市)の10階に、ダンスや書道の受講生に混じって、がんの患者さんたちがしずしずと集まってくる。身体のどこかが痛かったり、息が切れたり、抗がん剤治療中で気分が悪かったりするので、どうしても立ち居振る舞いがしとやかになる。
ところが、帰りはマタタビをなめた猫みたいに元気になり、足取りも軽やかに「お茶でもします?」と地下の喫茶店に繰り出したりするのだ。患者仲間で語り合うこと、笑いあうことには、命を活性化する偉大な力がある。
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受講生は12、3名。肺がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、乳がん、胃がん、大腸がん…と部位はさまざまで、年齢も30代から70代までまちまちだが、全員が女性だ。もちろん男性も大いに歓迎なのだが、はたして私たちの話題についていけるかどうか。
会わなかった2週間のできごと、病状の変化や検査の結果などを洗いざらい報告しあう。深刻な病状の人も多いのだが、女同士のおしゃべりはとどまるところを知らない。
よく話題にのぼるのは、自分が先に逝ったあと、家事ができない夫がどうなるか? ということ。これは中高年の女性のがん患者特有の深い懸念なのだ。
「娘から『お母さん、お願いだからお父さんを置いていかないで』と言われるけど、でも、どうやって連れて行けばいいのかしら」
「そう、無理心中するわけにもいかないしね」とうなずく仲間。
「うちの主人ときたら『勝手に死んだら許さん』って怒るのよ」
「ワッ、愛されているんですね」と合いの手が入る。
「違う、違う、私がいなくなったら自分が困るからよ」…なんて、そんな話で盛り上がっていることを知ったらお父さん、もっと怒るかも。
緩和ケア病棟にもみんなで見学に行った。ひと通り見学させてもらったあと、階上のホールでいつものおしゃべりが始まった。おいしいコーヒーでもてなされ、居心地が良くて、つい自分たちがどこにいるのか忘れ、気づいたら2時間以上もホスピスを喫茶店代わりにしていた。
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30年ほど前、最初の甲状腺がん手術をしたあと、私は声の出ないつらさを同病の人たちと分かち合いたくて患者会を探したが見当たらなかった。
患者会どころか、がん患者そのものが見つからないのだ。当時、がん告知はタブーだったので、自分の病名を知っている患者は少なかった。
今では医療の進歩で、がんは必ずしも死病ではなくなった。遠隔転移した第4期の患者でも、治療の組み合わせ次第では何年も生きられる時代になり、日本でもインフォームドコンセント(十分な説明と同意)が定着してきた。
残念ながら治癒が見込めない場合でも最近は本人に余命まで知らされる。それを聞いてしまった以上、患者はなんとか事実を受け止めなくてはならないが、ひとりではなかなか難しい大仕事だ。
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私たちの講座には、たまに、切迫した状態の患者さんやご家族が“急患”風に飛び込んでこられる。そんなときは、いつもはおしゃべりの受講生が聞き役に回る。
ピアカウンセリングと呼ばれる当事者同士のグループ療法があるが、この講座はいつの間にかピアカウンセリングの場になっている。
がん患者や家族の日常は、再発や病状の進行への不安と恐れで緊張の連続だ。そんな患者がピアカウンセリングに参加すると明らかに再発率が下がり、延命効果があるというアメリカでの調査結果もある。ストレスが緩和され免疫力が上がるからだという。
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引用おわり
今まで多くのがん患者さんを看てきました。
いつも明るく笑っている人は、どんなに検査データが悪かったり病状が進行していても”楽”そう。「こんなデータなのに、どうしてそんなに元気なの?しんどくない??」って思ってしまうことも。
そのような患者さんは「病気は治らないかもしれないけど、気の持ちようで楽しくも暗くもなる。病気と向き合いながら、心は元気でいたい」と言っていました。
ご家族の面会時も、みんなとっても楽しそう。そんな患者さんやご家族に、私たち医療者も元気付けられていました。
>患者仲間で語り合うこと、笑いあうことには、命を活性化する偉大な力
がある。
病気を受け容れることで転換できたり、思いを他者に開き出すことで共認機能を向上させていったり。
そうして共認充足を得られて、心も体も元気になれるんですね。 |
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