現代意識潮流を探る
226637 『欲しがらない若者たち』
 
正国稔 ( 54 広島 農業 ) 10/02/17 PM01 【印刷用へ
今日、大学3年の男子と会議で話す中で、
「欲しいものは何?」
と問うたら次のような返事が返ってきました。

・「バイク」。何が欲しい、どこへ行きたいもない、移動に便利なもの。
・「掃除機」。今もあるんだけど吸引力が悪くなってきたから。

”遊ぶために稼ぐ”が本音だった世代からしたら、「???・・・」

貧困を克服して40年。
バブルが崩壊して20年。

現代の若者の意識は明らかに変わってきています。


  〜引用始め〜

山岡拓:『欲しがらない若者たち』(日本経済新聞出版社) 

作者: 山岡 拓
出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
発売日: 2009/12/09
メディア: 新書
当方は自動車を所有していない。理由はと問われれば、必要ないからと答える。23区内に住んでいるならば、電車や地下鉄、そしてバスで99%は用が足りてしまう。自動車を買うことは、併せてランニングコストとしてのガソリン代・駐車場代、そして各種の税金も発生することを意味し、それに見合うリターンは得られないと判断しているからだ。

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内容(「BOOK」データベースより)
「ブランド品を買わずにお金をかけるのは…」「どうしてエアコンよりこたつを選ぶ?」「新築より古民家の方がいいのはなぜ?」―。独自の統計調査やディープインタビューを通じて、かつてからは想像もつかない価値観を持つ、現代の若者の実像を徹底解剖する。


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本書は、現代の若者(主として20代)の消費行動を分析したもの。目次は以下の通り。

 第1章 車離れに見る若者たちの価値観;
 第2章 若年男子は酒よりスイーツへ;
 第3章 後退する「ハレの消費」と「巣ごもり」傾向;
 第4章 増えていくのは貯金だけ;
 第5章 恋愛市場の危機;
 第6章 縮小する性差―男前オンナvsオトメン;
 第7章 「平成成人」はクールな調整型;
 第8章 個の溶解と、浮上する共振型の喜び;
 第9章 近代からの離脱と伝統文化への回帰;
 終 章 社会と経済の変化にどう対応するか

第1〜7章までは事例から見た現代の20代の消費行動の特性を詳述、第8〜終章までが概観という構成だ。

当方は、世代間でその特性が大きく異なるという考え方には与しない。たとえば、現代の20代たちが車を買わない理由は、当方が冒頭に記した理由とほぼ同じ。つまり、このことだけに関して言えば、冷静に論理的に考え経済合理性を求めれば車はいらないという結論になるのはどの世代でも同じなのだ。

とはいえ、その割合は当方の世代と20代とではそのパーセンテージは明らかに異なるのは事実に違いない。一般的に、若者は流行に敏感であるのだから、今というこの時代のもたらす圧力に的確に反応しているといっていいだろう。

特に、第8章の「個の溶解と、浮上する共振型の喜び」という段は示唆的だと思う。この章で語られる家族との絆や共同体への回帰が浮上してきたのは、自己責任や成果主義という言葉がまことしやかに使われる社会への若者側からのアンチテーゼのように当方には思える。

全体として、データを冷静に分析しコメントする著者の言葉からは、彼ら世代の消費行動の是非を問うものではないのが好もしい。この手のものって、やっぱり上から目線というか、いまどきの若者はという論点に傾きがちなんだがそういうところがないのに好感が持てる。

モノを作ったりサービスを提供して食い扶持を稼いでいる人(ということはほとんどすべての企業の人たちってこと)は、この世代から日本がいかに変容していくか、それとも変わらないかについてリアルタイムに経験することになる。その準備の一環として読んでいていい一冊だと思う。


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  〜引用終わり〜
 
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