日本人の起源(縄文・弥生・大和)
225063 海洋民族としての縄文史観(3)〜東西の2つの海洋経路
 
田野健 HP ( 49 兵庫 設計業 ) 10/01/25 AM03 【印刷用へ
網野史観の続きです。
著書「続・日本の歴史を読み直す」より

>山民と海民の間の分業は、縄文期には成立しており、弥生時代には平地民との間にも分業が確立していたと考えられますから、縄文期の塩や魚貝、石器(黒曜石)の原料などの交易を媒介にしていた原初的な商業活動は弥生時代にはさらに活発かつ広域的になったと考えられます。また、専業の商人ではなく生産者が広い地域を動いて交易に従事するのがふつうだったと思いますが、それを支えたこの時期の交通の基本が海、川による交通であったことは遺跡、遺物の分布を見てもはっきりとわかります。川や海にかかわりを持った遺跡も多く、水系によって遺跡群のまとまりもあるようです。

>日本列島を横断する交通路は何本もあったと考えられ、瀬戸内海から大阪湾に入り淀川を遡上して宇治川に出て琵琶湖に入り、短い陸路を経て北陸、日本海に出るルートはこの時期には活発に利用されていたと考えられます。
また弥生時代には北陸の勾玉がかなりまとまって千葉県から出土していますので、中部、関東を川と道を利用して横断し太平洋と日本海をつなぐ列島横断路も利用されていたと思います。

>一方でこの時期、列島の東部と西部の差異は非常にはっきり現れてきます。縄文時代からその違いは明らかに見られたのですが、弥生文化は非常にスピーディーに伊勢湾から若狭湾まで広がっていきますが、そこで面としての拡大は200年くらいとまってしまいます。
縄文文化の強い抵抗があって拡大がとまってしまうので、東の縄文文化と西の弥生文化というはっきりした差異がこの時代かなり長い間つづいたことになります。この時代の差異がその後の列島の社会の動きを考えていく上で度外視できないことだと思うのです。

(中略)
列島東部の場合は北との関係を考慮に入れておく必要があり、列島西部は朝鮮半島からの文化の流入を前提におく必要があります。
北東アジアからサハリン・北海道を経て東北、関東へ、あるいは日本海を横断して北陸、山陰へという西からの文化とは異なる北からの文化の流入路があったことに注目する必要があり、この異質な東と西の交流の中で社会、文化のあり方を総合的に捉える必要があります。

(中略)
製鉄技術も同様で、これまで朝鮮半島から北九州経由で鉄の原材料が輸入されたと言われており、製鉄の技術も列島西部から東部へ伝播したと言われてきました。
しかし、それとは別に北周りで入ってきた製鉄や鋳造の技術もあるのではないかという考え方が最近有力になってきています。列島西部とは明らかに異なる炉の形の製鉄がかなり早い時期から、東北、関東に独自に行われており、しかも西では砂鉄からの製鉄であるのに対して東の製鉄は鉄鉱石からではないかということも考えられています。
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海洋民としての縄文ネットワークは東西で大きく2つの経路が形成されています。東では中国東北部からサハリン、北海道を経由して本州にいたります。主に日本海側を中心に発達しており、関東、中部地方まで拡大しています。一方、西側は対馬を経由して朝鮮半島、中国江南地方、から九州を経て瀬戸内海経由で近畿地方までいたります。
このネットワークは日本海を経由して相互に連携します。例えば出雲は日本海ネットワークに入り、北陸は西日本ネットワークに川で接続します。

海洋の交通網に対して陸路は奈良時代にようやく朝廷の手で開発される事になります。山に囲まれ、川に寸断される日本の地形は陸路には非常に不適で海洋の道を朝廷の手で規制された奈良時代以降の交易民は海洋民から陸路を渡る僧侶に移行していったようです。そしてこの僧侶から商人が発生していきます。
 
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日本人の海洋的資質が巨大火山「喜界カルデラ」によって拡散した。 「縄文と古代文明を探求しよう!」 20/02/02 AM00
227418 日本の商人の原型は海洋民としてのネットワーク力にある 田野健 10/03/01 PM07

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