法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕
224288 東京地検特捜部はGHQの内部対立から生まれた
 
橋口健一 HP ( 46 大阪 技術者 ) 10/01/15 AM09 【印刷用へ
東京地検特捜部は、昭和電工事件の捜査終結後、この捜査に従事した検事と、全国からよりすぐって集められた知能犯専門の検事を中心に昭和22年11月1日に設置された「隠退蔵事件捜査部」(敗戦後の混乱に紛れて隠されていた陸海軍はじめ政府機関の持っていた物資をめぐる不正事件を摘発・捜査)とが合体して、昭和24年5月14日東京地検において正式の部として発足した。

敗戦直後の昭和20年、GHQはわが国の中央集権的な国家機構の分散・解体を狙って司法省と内務省を解体した。検察と警察双方の権限弱体化を意図したのである。GHQは、アメリカ式に検察官を法廷のドアの中に閉じ込めようとしていた。公判専従論、つまり捜査はすべて警察に任せ、検察官を公判立ち会いのみに限定しようとしたのである。

検察は、自らが中心となって自由に操作できる強力な独自の捜査機関を作ろうとしたが、GHQのGS(民生局)と警察側に反対されて実現しなかった。

しかし、昭和電工事件の捜査中の昭和23年9月にGS(民生局)のケーディスが「昭和電工事件の捜査は検察のみでやれ」と検事総長に命令してきたのである。これが転機となる。

昭電事件は、当初警視庁捜査第二課長の秦野章(後に警視総監、法務大臣)が指揮し、東京地検と共同して昭和23年5月に昭和電工本社を捜査したのだが、9月になって警視庁は捜査から外れた。その理由は、GHQ内部の対立、特にGSのなかに昭和電工から金品や高額の接待を受けていた者がいたとか、警察関係者がもみ消しに動いたとか、警視庁から捜査情報が昭和電工にながれたなどとされる。

GHQ内の対立とは、具体的には、GS(民生局)次長のチャールズ・ケーディス(ニューディール派で旧軍人、保守派の政治家らを公職追放した急進派)とG2(参謀第二部の情報・治安担当)部長のチャールズ・ウィロビー(保守派で反共主義者)との対立を示す。

ウィロビーは昭和電工事件を、同社とつながりがあり、金品を受け取っているとの噂があったGSやESS(経済科学局)を排除するチャンスと考え、警視庁に内偵を始めさせた。
一方、ESSは事件のもみ消しをはかり、GSのケーディスは東京地検の捜査を通じて自らの潔白を証明しようとしたのである。

【引用文献】
『特捜検察の事件簿』
藤永幸治(元東京地検特捜部長)著 講談社現代文庫
〜東京地検特捜部の成り立ち〜 P.178〜182

【参考】
昭和電工事件 
リンク

東京地検特捜部はGHQの内部対立の産物である。当初の規定路線を勝手に捻じ曲げてでも私権闘争と保身に利用された事実から、その時々の(アメリカの)最高権力者の意向には逆らえないという宿命を背負っているのではないか。
 
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