古代市場と近代市場
223816 ベネチア貴族階級は14世紀に成立 〜商人出身。やがて土地運用へ〜
 
渡邊真也 ( 32 神奈川 建築設計 ) 10/01/09 PM02 【印刷用へ
 約1000年に渡って共和制をしき、独立を維持し続けたベネチア。
13世紀ごろからもともと商人が貴族となり参政することとなる。やがてテッラフェルマという広大な土地を所有することで15世紀ごろには彼らの企てが商業(海)から土地(陸)へと移っていった。倹約を美徳としていたベネチア貴族の意識にも変化が現れる。

 当時のベネチアと貴族の関係が記されている記事がありましたので紹介します。


以下「Midnight Labyrinth」より
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 13世紀末から14世紀はじめまでに確立された貴族階級は唯一の参政権を持つ統治階級として滅亡までヴェネツィア共和国を支配することとなる。貴族階級が成立した14世紀において、彼らは本質的に商人であった。同時期に進行していた造船・技術の革新は地中海における商業活動を遍歴商業から定着商業へと至らしめ、地中海商業の地理的拡大と取引き規模の増大をもたらした。商人によって構成されていた貴族階級はこの恩恵を被ると共に、

14・15世紀のヴェネツィアの繁栄に大きく寄与した。商業を営み利潤を追求する事が、全体としては共和国の繁栄につながり共和国への奉仕にもなったからである。国有ガレー船での輸送において商品を平等に扱う規定などで共和国もまた個々の商人を保護する事に務めた。

しかし、15世紀もっぱら海に目を向けていたヴェネツィアが陸へと進出しテッラフェルマと呼ばれる広大な土地を備えた領土を手にする。これを機にヴェネツィア貴族のなかにも大規模な土地所有が生じるようになる。当初、テッラフェルマの所領は家族用の食糧源や副次的な経済活動の場として位置づけられ、商業リスクに対する保険として所有されていた。

 しかし、16世紀の政治・経済情勢がヴェネツィア貴族には苛酷な物と映るようになるにつれ、その意味合いに変化が生じてきた。そして、元来生活の基盤を商業においてきたヴェネツィア貴族の中から土地に生活基盤を移し地主化するものが現れ出す。16世紀の前半までに大貴族を中心とした貴族達が商業を忌避し地主化した。16世紀の半ばに生じた食糧危機や価格革命によるインフレーションは土地の利益率を増加させ、依然商業に従事しつづけていた貴族にも土地への傾斜を強めるのを促した。その結果、16世紀末の段階においてほとんどの貴族が地主化すると言う事態に至ったのである。

 こうした地主化の過程は一代で行われたのではなかった。バルバリーゴ家の例のように数世代を重ねるうちに地主化していったのである。この貴族の生活基盤の移行は彼らの価値観・習慣にも変化をもたらした。倹約を美徳とみなしていた従来のヴェネツィア貴族ではみられる事の無かった衒示的消費にかける出費が目立つようになってきたからである。この消費行動に対する価値観の変化は財産の質の変化に帰せられる。商業で得た収入は次の事業における元手となるため資本の減少を招く事のないよう倹約に努める必要があった。

 しかし、土地収入はわずかな再投資しか必要とせず収入のほとんどを自由に使える事ができ、それが衒示的消費を可能にしたのである。また、財産の質の転換は信託遺贈と結婚制限という習慣をもたらし貴族人口の減少を招く。その結果、貴族階級成立から200年以上閉鎖されていた貴族階級に新しい家系を呼び込む事となるのである。
 
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