私権社会の婚姻制
22267 日本の交叉婚の特殊性
 
岡本誠 ( 47 兵庫 経営管理 ) 02/01/27 AM02 【印刷用へ
>族外婚(交叉婚)の段階になると、実母氏族間(つまり兄妹間)の禁婚が厳密に守られたという事実がないと、後の母系氏族制の確立…、ひいては、それを基盤とした婿取婚が南北朝時代まで続いたことに整合性ある説明がつかないのではないでしょうか。 (小寺さん、21980

 まず禁婚については、世代間と兄弟姉妹に分けて考える必要があります。細田さんが21655で、中国貴州省の山地に住む少数民族、苗族(ミャオ族)の例から、

>最初の段階の制約は、世代の異なる人同士は結婚できないという年齢の制約である。次に現れた制約は兄弟姉妹や母方平行イトコ間では結婚できないことだ。三つ目の制約は、同一宗族内の者が通婚できないことで、このような制約も地域によって、どの制約がなされているかは異なるようだ。

とまとめられていますが、この点でも日本は特殊で、実母子間の禁婚のみが顕著で、父系(父・娘)や兄妹の禁婚は元来なかったとされています。交叉婚は厳密には兄妹婚のタブー(勿論父・娘もタブー)をもって成立しますが(世界史的にはそう)、日本は複数群のヒロバでの共婚ですから、兄妹婚黙認の交叉婚と考えているわけです。それまでの氏族内兄妹婚からすると、他氏族と交わるわけですから一見兄妹婚タブーと映りますが、厳密に貫徹するためには、兄妹同士が当たる可能性のある共婚にはならないのでは、というのが根拠です。他氏族との交わりが優先されたのは確かでしょうが、何ともルーズな婚姻制だと思います。

 子は母親の群で育てられるのは原始以来そうですから、ずっと母系氏族制であったと考えていいのではないでしょうか。集団分割も血縁を基準に分割するしかなく、必然的に母系氏族集団になったと思います。交叉婚の男女も各自生まれた群に属しています。

 妻問婚→婿取婚は、弥生人or大和人が持ち込んだ婚姻制で、当初支配層のみで行われていたものです。男が忍んで好みの女のもとを訪れる妻問婚も、男を母系集団に迎え入れる婿取婚も、母系氏族制を基礎にしていますが、同時に崩壊をも意味しています。群同士の婚姻制が崩れ、さらに生まれた群を離れるという形で変質していきます。(縄文から外れてしまいますのでこの程度で一旦止めます。)
 
  List
  この記事は 21980 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_22267
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
母系・父系の有様と双系の謎 「共同体社会と人類婚姻史」 08/03/13 PM11
113466 結婚の年齢制限 匿名希望 06/05/13 PM09
22369 Re:日本の交叉婚の特殊性(岡本さんへ) 毛針田万作 02/01/29 AM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
風土、生産様式、婚姻制
原始婚と性習俗
原始人類(後期)の全員婚
村落共同体の規範について
『日本婚姻史』の概略
日本の交叉婚の特殊性
「交叉婚」の集団性は?
交叉婚で発生した男の自我
江戸時代の結婚〜制度から見た男女の地位〜
西洋人の精神構造と異常な性意識
近代思想の結果が、現代
資本主義とセックス
セックスが「罪深くいやらしいこと」であるから、「処女性」が尊重される
処女観、初交観
夜這い「オコモリ」1
夜這い「オコモリ」2
夜這い「オコモリ」3
夜這い「オコモリ」4
和島家族論
水野家族論
夜這いの解体と一夫一婦制の確立1
夜這いの解体と一夫一婦制の確立2
夜這いの解体と一夫一婦制の確立3
恋愛も代償充足
その関係そのものが、心が通じ合えない構造にある
恋愛は共認不全をごまかす為の価値観念
性的独占意識の心理的転機
多くの男に女として認められること
オヤとコ(柳田民俗学から)
親の囲いが、対象を遮断し、活力を衰弱させる
過保護空間
「子供」という旧観念
婚姻が社会と切り離されて50年も経ってない
「二分の一成人式」に欠落しているもの
謝罪と感謝の方法
心の器
「セクハラ」の驚くべき事実。
イイ子・ワルイ子

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp