密室家庭は人間をダメにする
221906 江戸時代の子育て〜仮親と子育てネットワーク (2)地域ぐるみの子育て
 
汚れなき男 ( 29 神奈川 会社員 ) 09/12/14 AM00 【印刷用へ
---------------------(引用開始)------------------------------

■宮参りで地域に仲間入り

赤子がはじめて地域とかかわりを持つのが「宮参り」であった。氏神をお参りして赤子を氏子にしてもらう儀式で、これを機に村の一員となった。

時期は一定しないが、平均すれば生後約30日で、早ければ生後7
日、遅くても100日にはすませた。また、生後100日目には、赤子に飯を食べさせる真似をする「食初」の儀式を行った。食初前は一人前の人間とみなさなかったため、食初前に死んだ子供は、墓ではなく家の大黒柱の根元に埋めることが多かった。無事に初正月を迎えた子供は、男子には破魔弓、女子には羽子板や手鞠を贈った。三月の節句は今では女子の行事になっているが、本来は男女とともに祝うので、妻の実家や親戚からは雛人形、近所からはこれらを描いた掛軸などが贈られた。三月のひな祭りに代えて「八朔(8月1日)」に雛人形を贈って初節句の祝とした地域もある。
五月の節句も、男女共通の祝事として雛人形や鯉のぼりが贈られた。

これらの祝儀には、取り上げ親などの仮親が招待された。また、これらの節句には村の「若者組」が子供の成長を願って凧を贈り、凧揚げをした地域も多い。誕生から満一周年の「初誕生」には誕生餅をつき、氏神におまいりした。「餅負い」といって、子供に祝い餅(力餅・立餅)を背負わせてわざと転ばせたり、子供に丸餅を背負わせて歩けなくなるまで餅の数を増やす地域もあった。

三歳の「帯祝」以後は、帯を締める正式な着物に替え、神事や参詣に参加した。また、頭髪を結い髪にする「髪置」もこの頃行った。さらに、五歳の「袴着」を経て、七歳の祝いを済ませた子供は地域の子供組に加わった。

■地域の教育組織(子供組・若者組・娘組)

一定年齢から一定期間加入する「子供組」「若者組」「娘組」などの集団が各地に存在していた。これらはいずれも同世代の青少年が集団生活や共同作業を通して教育・訓練される社会教育組織であった。

たとえば「子供組」は、普段は遊び仲間と変わらないが、年中行事や祭礼の際には特定の役割を果たした。最年長の指揮によって行動し、厳しい上下関係や一定の掟の中で指導・教育され、掟を破れば仲間はずしなどの制裁もあった。

また「若者組」は、構成年齢や組織形態がさまざまだが、おおむね15歳以下の成年式を終えた青年が加入する組織で、加入の際には保証人となった先輩・知人に付き添われて「若者宿」などの集会所へ行き、リーダーや先輩から掟を聞かされたうえで杯をかわし、正式な加入が認められた。新米のうちは雑用や使い走りをさせられ、さらに先輩から徹底したしつけや教育を受けることで、子供心を拭い去って自立した大人へと成長していった。

若者組は、地域における祭礼や芸能・消防・警備・災害救助・性教育・婚礼関係などに深くかかわり、その責任も裁量も大きなものだった。いったん若者組に加入すれば内部事情は一切口出ししない決まりで、周囲の大人たちも口出しすることは無かった。

このように、江戸時代の子供たちは、大人の仲間入りをするまでの間、様々な人々との重曹的な関係や集団の中で育てられたのであり、そこには大勢の人間が深くかかわって一人の子供を育て上げていく、網の目のような教育システムがあったのである。

(3)へ続く
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_221906
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
277670 江戸時代の日本の子育て 〜西洋人からの報告〜 阿部和雄 13/06/12 PM10
251287 江戸の子育て観とは? 吉田達乃鯉 11/05/12 PM07
249957 あたたかい「繋がり」 鳥居愛 11/04/21 PM02
239140 現代ギャルママ考 わっと 10/10/09 PM05

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp