市場の支配構造
221370 医療もハゲタカの標的?〜『激減した国内のワクチン製造能力』より@〜
 
やまと ( 日出国 ) 09/12/06 PM02 【印刷用へ
インフルエンザが例年のように流行し、新型ウィルスが頻々と登場するという情勢で、(その危険性はさておき)ワクチンのほぼすべてを輸入に頼っている日本の現状は非常に心もとない。
食糧自給問題と同様に、外国に日本市場が食い物にされるネタがここにもあるということだ。

以下は松浦晋也氏(ノンフィクション作家)が日経オンラインでコラム「人と技術と情報の界面を探る」に『激減した国内のワクチン製造能力』というタイトルで掲載した記事です。(リンク

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今、日本は海外から新型インフルエンザ・ワクチンを輸入している。国内の生産能力が追いつかないからだ。では、なぜ生産能力が追いつかないのかといえば、かつて「ワクチンを接種しても流行を防げない」という研究結果が出たことと、副作用被害の訴訟で次々に原告勝訴の判決が出たことが重なって、学童へのインフルエンザ・ワクチン接種が義務ではなくなったからだ。義務だった時には、製薬会社には確実な需要が見込めたが、需要がなくなれば生産施設は単なる負担でしかない。かつては沢山あったワクチン製造設備が、縮小してしまったのである。

 この問題の背景には、ワクチン政策が抱える本質的な難しさが存在する。


【中略】


〜ワクチン政策には、医学・疫学だけではなく政治・ビジネスも絡んでくる〜

 疫学的に専門家が一致する結論が出ていないにしても、対策は打たねばならない。ここで、「リスクと利益」の考え方が重要になってくる。ある対策を行う場合の、リスクと利益を考え抜いた上で、対策を決定しなくてはならない。
 例えば、だ。新型インフルエンザ・ワクチンを国民全員に接種するとしよう。そうするとどうしても「酷い副反応で人生を台無しにされる人」が出るだろう。これはもう確率の問題なので、どうしようももない。それで社会全体の大流行が食い止められればいいが、そうでない場合もあり得る。
 逆に、そもそも新型インフルエンザのワクチンを、誰にも接種しないとしよう。流行は阻止できないが、副反応で人生を台無しにする人も出ない。そもそも「ワクチンに流行を抑制する効果がない」のならば、副反応の犠牲者が出ないだけましということになる。しかし、流行が広がった結果、インフルエンザによる死者が多数出る可能性も考えねばならない。

 ここに政治が入ってくれば、選択肢はもっと複雑なものになる。政治的には、「たとえ効かないワクチンであっても、国民に安心感を与えるために接種する」という選択肢もあり得るだろう。

 さらには、ワクチンは「接種する・接種しない」以外の問題も存在する。そもそも「製造できるのか・できないのか」という問題だ。ワクチンの製造は、製薬会社が行うビジネスだ。ビジネスである以上、ビジネスが継続できる条件を整えなければ、ワクチンが製造されることはない。

 要するに、ワクチン政策は、疫学的な問題に加えて、政治や経済までを考慮に入れねばならない、大変に難しいものなのだ。
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(Aへ続く)
 
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