暴走する悪徳エリートの所業
221070 建築行政の暴走
 
2U 09/12/02 PM09 【印刷用へ
建設業界は相変わらずの不況が続いていますが、その要因のひとつに建築基準法の改悪がある、という意見は、いまなお業界ではささやかれています。
直接の要因はかの姉歯事件であることは明らかですが、それに塗り重ねられるように建築行政の暴走という側面が見られます。

以下 [ゴーログ] 建築基準法改悪:コンプライアンス不況が日本を滅ぼす より引用
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■増築ができない。
・建築基準法改悪の結果、「増築は実質不可能になりました。なぜかというと、今ある既設の建物も新しい法に合致していないとダメになったから」と指摘しています。
・増築の場合、「押入れや物入れが1箇所程度(1坪程度のみ)」であれば大丈夫なのですが、これは「1坪程度の物入れのみの話」にすぎません。「既設の建物の1/2以下で既設と増築が完全に分かれている場合(廊下で繋がった、離れとかの場合と考えてよい)」には、「既設部分を耐震診断の上補強」することが必要になってくるようです。
 「大体、既設部分が許容応力度計算(構造計算)していないのに、増築部分を加えての構造計算なんて実質無理。何とか計算できたとしても、申請時に役所から追加要求で、何度も差し戻しになるらしい。(某役所の担当者の話)」というから頭が痛くなってきます。
 また、「既設の建物の1/2以上」の場合、「全て現行法に合致」ということになり、「つまり建てなおせということ」になるというのです。

・建築基準法の改悪のように、「コンプライアンス」の名の下に、現状に適合していない法制度を無理矢理導入してしまうことによって、日本経済が不必要に萎縮してしまうことを、「コンプライアンス不況」と名付けて警告しています。
 コンプライアンス不況の原因は、「自らの責任を業者サイドに押し付けてしまいたい」という霞ヶ関の思惑に乗っかって、経済の現状を熟知しないまま、遵守することが難しいルールを押し付けることによって生じます。わかりやすい例え話でいうと、「高速道路における自動車事故を未然に防止するために、最高時速を30キロにする」という馬鹿げたルールを作ってしまうということです。

■改正建築基準法の起草者が、「建築生産の何たるか」を解っていないこと。
・この法律が施行になる前から、・・・ほとんどの実務者・・・は、この改正法が非現実的であることを既に認識し、実際の運用に懐疑的であった。起草者は、おそらく建設現場とあまり付き合ったことがない、キャリア官僚と学者であることは、法律の内容を見ると容易に想像できた。この新しい法律の内容は、・・・提出書類を増やすことが主たる改定内容であり、元来の目的であった偽装防止とはほとんど関係がない。実務者団体が提出した事前の警告も、残念ながら立て板に水で、国交省にほとんど顧みられることはなかった。・・・

・日本国国家は、物言わぬ設計者と誤ったままの世論の認識を逆手に取り、とにかく国家には何も責任がなく、国家は常に善であり、民は常に悪事を働くという性悪説に立ち、法律改正の議論を推し進めた。 改正の目玉となった「構造計算適合性判定制度」という名の構造計算の二重チェック体制を導入することにより、全国に天下り先を増やすことができることも、彼らのモチベーションに拍車をかけ、躊躇はなかった。

■誰もが責任を負わない建築確認になっていること。
・確認というのは、設計したものを説明する書類があり、それを客観的に見る専門家がおり、「はい合格」とお墨付きを与えることで成り立つシステムである。従来、最後に文字通りお墨付きを与えるのは、基本的にはお上であった。・・・姉歯物件においても、お上が許可をおろしたはずであったのだが、お上はその責任を頑として認めなかった。・・・この責任逃れには無理があることを知っている日本国は、新しく作る建築基準法では、偽装防止という隠れ蓑のもと、注意深く、巧妙に、今後は決して国に責任が及ばないような法律の策定を急いだ。
・その結果、現在の「誰も許可をしない(許可する主体がいない)許可制度」改正建築基準法が出来上がった。新しい建築基準法のもとでは、国は「個々の建築生産の内容」を許可する必要はない。国の仕事は、建築を設計する業者と、設計内容を審査する機関が、「活動を行うこと」を認可するだけとなった。・・・国交省は先頃、今日の混乱は審査機関の過剰な対応が混乱の原因、と述べ批判をかわそうとしているが、民間審査機関にとってみれば、国が突如新しい法律を盾にして、掌を返したように責任を押し付けてきたことに対して面食らっているに過ぎない。・・・国が過去の過ちを認めるところから出発しない限り、この国の建築行政と関連業界は迷走を続けるであろう。

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※建築業界で働くものとして共感できる部分は多々ある。実際に出来上がる建物やその生産活動とはかけ離れた書類だけの整合を病的なまでに求めてく建築行政に大きな違和感を感じることはおおい。
また耐震性能に関する過剰な指導も現実との乖離が大きい。地震国である日本にとって耐震性能は社会の期待として大きいことは自明だが、現実の建物との整合を捨象して、一方的に正論を生産者(及び建物所有者)に押し付ける構図となっている。
このような思考の背景には、自分たち(自省庁)だけのことしか考えないエリート思考がある。

無能化する官僚思考のいち事例といれるのではないか。
 
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221491 建築行政の暴走は日本の伝統建築を破壊する!  大森義也 09/12/08 AM10

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