試験・身分制度の根深い害
220895 官僚制と試験制の通史的総括(戦後〜現在)
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 09/11/30 PM03 【印刷用へ
D 戦後のGHQ支配が学歴社会を加速させた。

明治から大正期は学歴社会であっても富裕層にのみ開かれた世襲色の強いものだった。さらに昭和期には財閥の力が強くなり、政治も家柄のよいものが就くようになり世襲色を強めていく。しかし、敗戦すると状況が一変する。財閥がGHQによって根こそぎ解体されると、庶民に対して門戸が開かれる。誰しもが学歴を得ることで社会の統合階級に駆け上がる事が可能になった。英語が堪能でGHQと交渉できる人材が経済の世界でも政治の世界でも優遇され、帝国大学出身者にはわが世の春が訪れた。

実際には東大卒は名門の子弟であったが、高度経済成長期の庶民には手に届く学歴に見えたのだろう。実際、復興以降は授業料を支払う事が庶民から見ても十分に可能になり、これらが受験熱を高め、受験戦争に拍車をかけた。
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E 国益より省益、省益より自分の権益を求めだした官僚たち。

「官僚たちの夏」に象徴されるように、戦後の官僚は、「敗戦」という現実を前に、「経済復興」という「国益課題」に向けて邁進した。霞ヶ関の殆んどの役人は精励潔白で自分たちが日本の再建を背負っていると考え退官した後も民間に入り指導をし、官民が共に日本再建に向けて歩む役割を果たした。いわゆる天下りである。しかし天下りも、経済成長が一定の成果を収めると、国益よりも省益へと矮小化され、更に小泉改革以降、省益よりも自分の利益へとさらに矮小化されていく。
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今や必要か否かという点では極めて怪しいダム、ワクチン、オリンピック誘致、といった無駄事業を量産し続け、その果てにそうした無駄事業の主体となる公益企業に天下りしては法外な役員報酬を手にしている高級官僚たちは、二重に無駄を積み上げるだけの「税金泥棒」に過ぎない。

戦後「官僚」が優秀とされたのはまだしも「国益=国家私権」という目的を踏み外すことがなかったからだ。しかし、70年貧困が消滅すると「国家私権」はどんどん衰弱する。そして、そのような「全体的な私権追求の場の圧力」の衰弱故に、逆に「企業私権」「家庭私権」「個人私権」を追及する少数の私権派がウィングを拡大するようになっていく。偽ニッチの台頭である。小さい頃、仲間集団の遊びに背を向けて、一人、受験という個人私権課題に埋没して、優秀な学歴と地位を手に入れた「エリート」こそが、こうした「偽ニッチ化」を主導した連中である。(和歌山の片田舎に生まれ、強烈なエリート意識に執着するようになった竹中平蔵氏はその代表格である。)リンク 

つまり「国家私権」の消滅によって「国家のため」という対象性が喪失し、官僚組織が自閉化していった。そして官僚制度の「国家よりも省益」という問題性と試験制度がもたらす「仲間課題よりも自分課題」という問題性が、重なったところから、官僚たちの暴走が始まったといえるのではないだろうか。
 
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官僚制と試験制の通史的総括 「縄文と古代文明を探求しよう!」 09/12/06 PM03
220904 官僚組織は国益(国家私権)を集団私権に矮小化し、試験制度はみんな課題を自分課題に矮小化させる。 山澤貴志 09/11/30 PM06

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