試験・身分制度の根深い害
220893 官僚制と試験制の通史的総括(古代〜戦前)
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 09/11/30 PM03 【印刷用へ
@ 古今東西を問わず、武力統合を推し進めた古代国家は、多数の兵隊を養うために、徴税官を必要とし、この徴税官を養うために、更に多くの兵隊を必要とし、それによって、さらなる徴税官の拡大を必要とする・・という「軍と官僚制の罠」に陥る。
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A 中国は、北方騎馬民族の襲来を繰り返し受ける中、とりわけ強く「軍と官僚制の罠」に陥いった。そして、帝国と皇帝は栄枯盛衰を繰り返すが、地方軍閥を基盤に持つ官僚たちが、皇帝の専制を阻むという、矛盾にぶつかり、地方軍閥の縁故によらない官僚人事の必要性から、「科挙制度」が作り出された。
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B 他方、ユーラシア大陸の辺境に位置する日本では、縄文の歴史が長く、侵略戦争の歴史が短かったこともあって、豪族たちが生き残り、軍体も、官僚制も、試験制度も左程、発達しなかった。むしろ、試験制度の持つ弊害の方が問題とされ、江戸時代に至っても、儒学は受け入れても、科挙=試験による官吏登用制度を取り入れることはなかった。それゆえに日本の江戸システムは封建体制と呼んだ方が正解であろう。
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C しかし、明治に入り、欧米が作り出した近代化圧力を受けると「富国強兵」というスローガンを実現するために、中国の科挙を昇華したヨーロッパ型の近代型官僚制度を導入していった。四民平等といった近代思想が日本的な集団主義を解体し、万人の私権欠乏を駆り立て、誰もが立身出世を夢見るようになる。他方、近代思想は自由民権運動を生み出し、反体制的知識人を量産するが、それ故に、国家は体制に従順で、言われたことだけやる「官僚」に様々な特権を付与し、学閥社会を生み出していった。一般に試験制度は「与えられた問題に答える」のは得意だが「問題そのものを考える力が欠如してしまう」という問題を孕んでいる。しかし「富国強兵」という単一の目的意識の前では「試験制度の弊害」はむしろ歓迎されたのだ。それ故に、「太平洋戦争どうする?」という新しい課題を前にして、硬直した思考しかできない戦前の指導者たちは、答えを出せず、うろたえるばかりであった。それ故に、己の特権を守ることが第1の「自閉共同体」へと軍部も官僚も埋没し、無残にも敗北をしていったのである。
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