試験・身分制度の根深い害
220439 「富国強兵」という単一の目的意識の前では「試験制度の弊害」はむしろ歓迎された
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 09/11/24 PM05 【印刷用へ
●「国家私権の追求」に従順な体制派官僚の育成の必要。

しかし、万人を私権追求の存在に洗脳しても、次の壁が、明治政府の指導者たちを襲った。

廃藩置県によって特権を失った士族たちによる「自由民権運動」である。私権収束は進んだが、「近代思想」は国家体制に対しては反体制的な動きをも誘発して行った。伊藤博文・森有礼ら体制派にとって、洋学を学んだ大学人を、体制派として取り込んでいくことも極めて重要なテーマとなった。そのため、国家官僚の給与を格段に上昇させ、試験制度を通じて、体制に従順な大学人の養成に力を入れていった。こうして藩閥政治から学閥政治へと表面的には体制の転換が進んでいったのである。(勿論、このような体制に盲目的に従順な知識階級によって、薩長支配という政治の実態は隠蔽されていった)


●「富国強兵」という単一の目的意識の前では「試験制度の弊害」はむしろ歓迎された。

試験制度の弊害は「与えられた問題に答える」のは得意だが「問題そのものを考える力が欠如してしまう」という点にある。しかし、「国家私権の追求」という目的のもとに、従順に与えられた役割を分担するだけの効率のよい人材を厳選するには、試験制度は最も「効率がよい」。むしろ明治政府(薩長)は「言われたことだけをやる」官僚を生み出すために、積極的に試験制度を導入していったのである。

しかし、そのようにして「富国強兵」のためだけに量産された官僚が、「世界大戦どうする?」といった新しい課題を前にして、方向転換できずに、失敗していくのも、必然であったのではないだろうか。
 
  List
  この記事は 220435 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_220439
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
220864 「科挙」とは根本的に異なる日本の試験史〜貢挙の制より 田野健 09/11/29 PM11

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp