密室家庭は人間をダメにする
2194 もともと、生物には親子関係など無かった
 
四方勢至 ( 老年 京都 編集 ) 01/03/26 PM07 【印刷用へ
皆さんは、「親子関係は何より大切」という先入観(「文明時代」の固定観念)で、息子移籍や娘移籍の問題を見ている(そして、その問題に拘わり続けている)のではないでしょうか?その先入観に基けば、「親子関係は在るのが当然」で、親が子を放逐するなどトンデモないという事になり、その結果、専ら「放逐or移籍する理由」の説明を求め続けることになります。

しかし、生物にはもともと親子関係など存在しなかったのです。例えば単細胞生物は、どんどん分裂して新個体が環境の中へと拡散してゆくだけです(彼らは互いに仲間であることを認識する機能は持っていますが、親子であることを認識する機能など、持っていません)。それは魚類や両生類でも同じです。つまり新個体は放っておけば新世界(環境)へと泳ぎ出してゆくのが、当然なのです。なぜなら、それこそが生命の根本的な適応原理たる個体(同類他者)の多様化原理に適った在り方(補:同類他者の変異が多様なほど、種としての適応が有利)だからです。

従って、「放逐」や「移籍」の理由が必要なのではなく、もし親子が一緒に居るとしたらその「同棲」の理由こそが必要なのです。実際、生命体が複雑化≒高度化してゆくにつれて、保育の必要が高まってゆき、親に保育本能がセットされてゆきます。この保育本能が親子をつなぎ留める訳ですが、この本能は保育必要期のみ作動する時限本能であり、保育本能が作動しなくなれば、新個体がさっさと新世界へ出てゆくという基本形は変わりません。

それに対して胎内保育機能を形成した哺乳類は、産後保育の強化(保育本能の強化)と性闘争本能の強化によって、環境(主に種間)適応度を上昇させてゆきますが、原モグラの場合、成体になると保育本能<性闘争本能に成る事によって、子(娘も息子も)は放逐されます。しかし、その後哺乳類は胎内保育機能を源流とする親和本能を発達させてゆきます。そうなると、親和本能によって子がそのまま居残ることになり、それでは多様化という適応原理が損われるので、巣離れor親離れ本能がセットされたと考えられます。

親和本能の発達した哺乳類の場合(雌雄分化に基く内雌外雄の集団編成も相まって)、雄の性闘争本能は強化されてゆきますが、雌の性闘争本能は衰弱してゆきます。その結果、若雄では巣離れ本能+性闘争本能>親和本能となって若雄は群れから出てゆく事になります。他方、若雌は巣離れ本能+性闘争本能≦親和本能となると共に、首雄の性的期待も相まって群れに残り、かくして娘残留の母系集団が形成されることに成る訳です。(なお、真猿も親和本能を更に発達させた哺乳類であり、一般には娘残留の母系集団を形成しています。また、首雄=父と娘の間には親子の認識は在りません。)
 
  List
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_2194
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
230534 「父親」は、私権社会が作った観念 猪飼野 10/04/23 AM01
223955 人間における親子関係 復讐の叫び 10/01/11 AM00
223768 【図解】もともと、生物には親子関係など無かった 坂本日出夫 10/01/08 PM11
223733 新個体はさっさと新世界へ出てゆく(適応原理) ヨネ 10/01/08 PM06
223730 【図解】もともと、生物には親子関係など無かった ECHO 10/01/08 PM05
223725 現代の親子関係は、弊害が多すぎる。 猪飼野 10/01/08 PM04
子育てを家庭に任せてはおけない!-4〜@本来どうあるべき?子育って、なに?(1) 「感謝の心を育むには」 09/12/29 PM07
220618 子育て分析メモ 汚れなき男 09/11/27 AM06
192094 哺乳類の最大の特徴☆ 匿名希望 08/11/13 PM00
171260 環境が本能を変える?〜アカカンガルーの事例 田野健 08/02/21 PM04
163651 私権社会に固有の「親子関係」 匿名希望 07/10/17 PM11
149331 親子関係に拘るのは、人類だけ?! 川井孝浩 07/04/14 AM07
子育てもカンタン 「Biological Journal」 06/10/29 AM01
134951 ライオンやトラの子どもが可愛いのは何で? 春風 06/10/20 PM11
117303 ”巣離れ”と”群れ”の関係は? 匿名希望 06/05/30 PM09
114053 巣離れor親子離れ本能がセットされた背景は? 匿名希望 06/05/16 PM08
「家族絶対」という旧観念も根強い。 「なんで屋@滋賀」 06/04/24 PM01
104826 改めて共認の凄さを マー 06/01/30 PM01
103911 同棲の理由を捏造しない、させない 佐藤英幸 06/01/12 AM01
103874 巣離れ≒親離れ本能の再生 根木貴大 06/01/10 PM11
103839 脱集団の根っ子には闘争本能と巣離れ本能がある。 田野健 06/01/10 AM00
90801 保育本能は一時的な生命原理 田村飛鳥 05/05/15 PM09
84723 観念でする「子育て」 05/01/27 PM11
84372 『親子』関係には感じられない子育ての可能性 原田昭雄 05/01/21 PM10
83906 自然の摂理に反する親元収束 細田卓司 05/01/12 AM03
83812 戦闘様式の哺乳類=肉食動物 村田頼哉 05/01/09 PM04
83529 移動採取様式の哺乳類=草食動物 村田頼哉 05/01/02 PM10
83088 子供を叱れない親が増えたのは、何で? 足立晴彦 04/12/24 AM11
81262 巣離れ・親離れについて 宮崎未帆 04/11/21 PM10

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
オス・メスの事実の確認
オスメス分化の塗り重ね構造
雌雄分化における統合
哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い
哺乳類の性闘争本能
『性闘争本能から縄張り闘争へ』
原猿における共感機能の進化の流れ
原猿のメスについて
サル時代の婚姻様式
もともと、生物には親子関係など無かった
チンパンジーの娘移籍に関する仮説
エスキモー族に見る性関係
ネイティブアメリカンに見る「女性への賛歌」
【女主導の原理と現代への適用】番外編 シャーマンの性別分布
「性の探求者」シリーズ(1) 未開部族に見る性の追求 〜性は日常、性は充足源〜
「性の探求者」シリーズ(2) 赤松啓介に見る性の追求 〜日本人のおおらかな性〜
代々木忠の「自分とつながるための方法論」
チャネリングセックスとは、どのようなものか?
自我が邪魔をして心を開けないセックス
セックスで得られる10の驚くべき健康効果
共同体では、子供はみんなで育てる。
闘争と生殖の包摂@
闘争と生殖の包摂A
再読 日本婚姻史 「縄文から弥生への婚姻様式の変化」
■再読 日本婚姻史 「弥生時代の父系文化への移行〜父親観念の発生〜」
家族って何? シリーズ3.江戸時代 〜武家だけが血縁父子相続であった〜
家族って何?シリーズ5 明治時代 〜洗脳と法制化によって民衆は「家」と「国」に嵌め込まれていった〜
日本人はどのように恋愛観念を受容したのか?〜明治編@
女たちの充足力を日本史に探る7〜明治以降の一対婚様式が破壊したものとは
【家族って何?】シリーズ.8〜昭和後半から現代〜家族という枠組みは成立していたのか
恋愛至上主義ゆえに結婚制度が壊れ、家族が消失する
家庭とは何か?1930年、高群逸枝はかく語る。(1)
家庭とは何か?1930年、高群逸枝はかく語る。(3)
男たちは、性闘争を放棄した
転換期の女たち
いい女は最強の充足媒体
男たちは 『力の基盤』 を失った
男女別学 −脳の差という視点で考える−
『目先ではダメ』だから少子化は進む一方
子どもにとって、「遊び」は最大の学習課題

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp