企業を共同体化するには?
217791 理論に導かれる集団の底力
 
阿部佳容子 ( 47 大阪 営業 ) 09/10/21 PM08 【印刷用へ
「女子大生の意識調査」というテーマで、その場に集まった同世代の女の子たちと2時間おしゃべりをこなすと、3000円+お足代、しかもジュース付。

クチコミで広まったバイト先は、1984年当時、ヒマをもて余していた大学4年生にとっては、魅力的な臨時収入源だった。

試合(ヒマなので4年生になっても体育会クラブを続けていた)の帰りに、仲間でその場に寄り、他大学のひとたちと振り分けられ、10人一組くらいのチームに分かれて、その会社の先輩の見守る中、与えられたテーマに沿って、好き勝手にとりとめなくおしゃべりをする。何と気楽なバイトだろう!と呼ばれれば一も二も無くかけつけた。

そんな集いが何回か続いたある日。

いつものように会議室で待機していたわたしは、その場にいた初対面の女の子からビックリするようなことを聞かされた。

「今日が最終やで」

えっ?なにそれ?

それまでの数ヶ月は、新卒女子採用の面接のプロセスだったのだ。

「最新の女子大生の意識状況を知りたいから、本音のところを聞かせて〜」。甘い言葉と高額なバイト代につられてホイホイと通っていたわたしは、試合帰りのジャージ姿でたっぷりくつろぎ、惜しげもなく本音なるものをさらけ出し、その実、しっかり観られていたのだ。

その会社は、当時、4大卒の女子は使えない(すぐに結婚するので)、と企業から滅法評判の悪かった女性を積極的に登用することで有名で、情報産業という新しい領域を切り拓いたことに魅かれた若いひとたちの熱気がみなぎり、やる気のある女子には人気の企業だった。

とにかくみんな元気!パワフル!朝早くから夜遅くまで職場はワイワイガヤガヤと活気があり、みっちり働ける!

仕事というものがどういうものかもわからず、ただ深夜までノルマに追われる営業職は自分には向かない(要するにラクしたい)と思い込んでいたわたしは、その場をホウホウの体で逃げ去った。

後で考えると、ウマイ採用方法だな、と思うし、その後、30歳で営業職を言い渡されたときは、「わたしって結局、ここなんや〜」と思い、この年になってもその職を続けている現実を顧ると、あそこの会社は先見の明があったのかな、とも思う。

会社の名前はリクルート。

友人で入社したひとたちを見ていると、彼女・彼らは、未だに連絡を取り合って、新しい職場や家庭環境でパートナーとなったり、お互いアドバイスをもらいあったり、学生時代の友人同士のように仲がいい。わたしの見る限り、お互いの存在、がんばりが、上昇志向としていい刺激になっているのだと思う。

しかし、共通するのは、彼らは一様に、比較的早い段階でリクルートという集団からは離れてしまっていること。企業家や政治家としてのステップのひとつとして捉えている早熟なひともいたようだが、しかし、女性の場合、多くが「楽しかったけど、キツかった。若いから勢いでできたけど、続けるにはムリがあった」と振り返るひととが多い。そして必ず、「でも、いい思い出よ〜。青春やったわ」。

「老若男女問わず、みんなが充足、安心、安定して、集団として戦っていける組織作りの根本」(217664)であるということに異論はないが、その組織がさらに太くなるためには、さらに「継続」というキーワードが必要ではないか。そしてそれは、瞬間風速的な勢いや威勢のよさではなく、万人に深く共認できる理論に導かれるものではないか。

25年前、訳もわからず面接で逃げ出したわたしは、自らを振り返ってそう思う。
 
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