人類の起源と人類の拡散
217672 逆境で進化したって本当? 第13稿
 
松井英仁 ( 40代 静岡 建築設計 ) 09/10/20 AM09 【印刷用へ
2007年、サイエンス誌に発表された「霊長類の二足歩行に関する学説」を紹介します。
野生のオランウータンの観察から、二足歩行とは、樹上生活に適応するためにサルの段階から獲得していた機能であるとし、二足歩行をもって人類の起源とする従来の人類学に疑問を投げかけています。

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『オランウータンに学ぶ:二足歩行の起源が樹上であった可能性』
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野性のオランウータンの観察により、二足歩行は比較的古い段階で発生し、現在一般的な学説のように、すでにサバンナに降りていたより新しいヒトの祖先から始まったのではなく、樹上生活をするサルで起こった可能性があることが報告された。

今回の発見は非営利科学団体である米国科学振興協会(AAAS)が発行する Science誌2007年6月1日号に掲載される。

直立歩行、つまり二足歩行はこれまで長い間ヒトおよびヒトに非常に近いわれわれの祖先だけに観察される特徴であると考えられてきた。二足歩行の起源として最も広く受け入れられている説はサバンナ説と呼ばれ、チンパンジー、ゴリラそしてヒトの祖先が木から降りてきて地上を四つ足で歩行し始めたとしている。

時間の経過と共に、この四足歩行が今日のチンパンジーやゴリラに観察される「ナックルウォーキング」へと進化し、その後ヒトの直立状態の二足歩行へとさらに進化していったとされている。

古生物学者は古代のヒトやホミニン(hominin)の化石を他のサルから区別する場合、二足歩行の名残があるかどうかという基準によって判断するのが通例であった。しかしこの区別は最近、化石からルーシー(Australopithecus afarensis)を含む古代類人が森林地帯で住んでいたということや、より古代のミレニアムマン(Orrorin)などは林冠に住み二本足で移動していたらしいことが明らかになるにつれ、複雑さを増してきている。

本研究の著者の1 人であるリバプール大学(英国、リバプール)のRobin・ Cromptonは、「われわれの発見で全体像はさらに複雑になった。これが正しければ、ヒトの祖先かサルの祖先かを判断するのに、二足歩行の有無に頼ることができなくなってしまう。何がヒトで何がサルなのかを区別することは難しさを増してきているが、今回の研究でさらに困難になった」と述べている。

Cromptonはじめ、バーミンガム大学(英国、バーミンガム)のSusannah・ ThorpeおよびRoger・Holderらは、インドネシアのスマトラに生息する野性のオランウータンを観察し、結論を導いている。オランウータンはその生活のほとんどを樹上で過ごし、数百万年前のわれわれの祖先がどのような行動を取っていたのかを明らかにしてくれるモデルである。

データ収集のためThorpeはスマトラの熱帯雨林で約1 年間生活し、オランウータンの事実上すべての動きを記録した。その後、Thorpeらは観察内容から、二足歩行が樹上生活をする祖先に利点があるとする仮説を検証した。

樹上生活をしていた祖先は今日のオランウータンと同様、果物を食べて生活をしていたと思われるが、果物は木の先端部分の細くたわみやすい枝になることが多いため、体を支えるための何らかの策が必要になったと考えられる。二足歩行をしながらバランスを取るために2本の腕を使う「手を使った二足歩行」は、このような枝の上を移動するのに役立ったであろう。
(続く)
 
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