日本人と縄文体質
217157 江上波夫「提言・日本人の多様性と統一性」より6〜漁撈民型、農耕型、騎馬型の塗り重ねで出来ている日本
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 09/10/14 AM03 【印刷用へ
>それに父系と母系との関係があります。日本の場合は母系社会とか父系社会とか一方に決まってしまわず、だいたいにおいて双系的な社会構造です。東南アジアの農耕民族では一般に双系制社会で、北・中央アジアの牧畜騎馬民族では父系制社会ですが、日本では、外来の騎馬民族も何代かたてば双系制になる傾向があった。要するに日本では、象徴的な中央集権制としての公家と、実力的支配体制としての武家の存在、農耕民型と牧畜・騎馬民型が社会の根底にあって、その上に出来上がっている流動的な階級性と、双系制の社会構造、それらが、いずれも新しいものを取り入れることを可能にするが、それがもとからあるものを排除したり、極端に、あるいは性急に変化してしまうことをストップする役割をもっていたのではないか。社会を硬化し、停滞した状態から更生させるのに革命的な形でなく、流動的、漸進的な形で化成する役割をもったのではないか。

>このように日本人、日本民族というのは、根底にば狩猟・漁撈民型があります。それがかなり濃厚に残っているのが東北地方、日本海側であり、そういうところには縄文文化以来の、自然ときわめて密着したシャマニスティックな文化要素も残っています。

>それに対して農耕民型が瀬戸内から畿内、東海地方へと広がっている。農耕のうちでも最もテクニカルで共同体の協力を必要とする稲作という高度な形態です。

>そこへ牧畜・騎馬民型の支配層が入ってきた。ローカルな農耕民に対して、これはユニバーサルでコズミック(宇宙的)な考え方をもっていた。農耕民は自然のサイクルに従って生きているから、どうしても運命論者的になるし、ローカル性の強い封鎖的な性質を帯びがちだけれども、牧畜・騎馬民のほうは反対に非常に開放的であり、積極的に富み、新しいもの、実益的なものを追求したがる。

>日本にはこのような三つのタイプが併存しています。場所によって濃淡の差はあるが重なっている。そして農耕民型が必要なときには、それが表面に浮かび上がってくるし、牧畜・騎馬民型が必要なときには有効に働く。こうしてバラエティーに富んだ人材がたくさん準備されているという点でも、これが日本のまた一つの大きな特色になっていると思います。

>以上お話ししたところでだいたいおわかりのように、この三つのタイプが併存してぎたのが日本人の特質です。一つが他をつぶしてしまうのではなくて、ある種のバランスを保ちながら現在まで続いてきた。これが日本列島の小世界的なあり方を象徴しています。そこに日本人の多様性と統一性との両面がみられ、しかも三つのタイプの対応関係が認められるのではないかと思われます。

(私のコメント)
漁撈民型、農耕型、騎馬型の塗り重ねで出来ている日本は、それぞれのよさと弱点を相互に補正できれば、確かに強力です。「日本人は闘えるのか」「官僚制の弊害を超えられるのか」といったホットなテーマを解く鍵も、この日本人の塗り重ね構造を踏まえれば見えてくるかもしれません。
 
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