国家の支配構造と私権原理
216776 古代中国の官僚制 軍隊と官僚制の罠
 
小暮 勇午 ( 32 京都 路上人 ) 09/10/09 AM00 【印刷用へ
「武力支配を実現→維持するためには、徴税のための官僚制度が必要となる」。この軍隊と官僚の罠に嵌ったのは、何もインド・マウリヤ朝だけではない。中国でも同様だった。

武力により中国を統一し、巨大な帝国を築き上げた秦の始皇帝は、その軍隊を維持し武力支配国家を実現するため、強力な中央集権機構を確立する。徴税官が官僚の始まりだった。そして、これから後、”中国”を統一する王朝は、須く「官僚制」を導入することとなる。これは巨大な帝国を武力によって支配するしか無い以上、ある種必然的な構造とも言える。

後の漢の時代には、官僚制度の肥大化・腐敗化が一層深刻となった。官僚制度の肥大化・腐敗化の背後には軍事力の増強があり、軍事力増強の理由に戦争圧力が挙げられる。漢の武帝が遊牧民族・匈奴との戦争を仕掛け始めたことが契機となった。

漢帝国は圧倒的な兵力を誇っていたにも拘らず、機動力に勝る遊牧騎馬民族国家に敗戦を重ねる。最終的には勝利したものの、完全に駆逐することはできなかった。
農耕民族によって形成されている漢帝国にとって、戦争は割に合わない公共事業である。生産手段を放棄して戦争に参加する者を続出させるし、例え勝ったとしても、手に入れられる土地は、草原が広がる農耕には不向きな土地ばかりである。

そのため、漢帝国は勝ったとは言え、莫大な財政負担を強いられることになる。戦争を遂行するための軍事力の強化。加えて、財政危機に対処するための経済統制。これらを担うべき官僚制度も肥大化し、この官僚制度を維持するためにさらに財政が圧迫されると言う罠に嵌っていったのである。
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人口の圧倒的多数を占める農民を兵や人夫として大動員したほか、生産物の余剰の大部分を税として吸いあげた。塩・鉄など生活必需品を専売にしたり、物流を管理して転売によるマージンを稼いだりもした。このような政策を実施するための官僚機構は際限なくふくれあがり、役人の数は12万人に達した。そんな中でも宮廷では豪奢な暮らしが続けられ、后や宦官(かんがん:去勢した男子)という使用人が大勢養われていた。
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