企業を共同体化するには?
211321 自主管理への招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。
 
岡田淳三郎 ( 60代 大阪 経営 ) 09/07/23 AM00 【印刷用へ
'74年に、共同体企業:類設計室の「自主管理綱領」として執筆され、その後'79年に類グループ(リンク)の募集パンフレット「自主管理への招待」として書き改められた一文です。

共同体企業:類は、'72年に設立されましたが、明らかに時期尚早であった共同体企業設立のために書かれたこの文章は、35年後の現在、ようやく時代にマッチした問題提起となってきたように思われます。

以下、【自主管理への招待】本文を紹介する。

***************************************************************

【自主管理への招待(1)】

定年まで三〇年間、「花形」であり続けた産業があっただろうか?
その時々の世間の風潮に流されて、一生の職業を選択してしまう若者が増えてきている。だが三〇年前の石炭、二〇年前の繊維、一〇年前の鉄鋼、これらその時々の花形産業は、工業生産の発展の過程で次々と凋落し、その度に〈自前の認識〉を持たなかった者は苦汁を飲まされてきた。まして今、諸産業を次々と興亡させながら凄じい勢いで発展してきた工業生産は、遂に物の(消費の)飽和限界に行き着き、すべての進路を塞がれようとしている。これは史上、人類が経験したことのない事態である。このような大転換の時代に、あいも変わらず目先の「花形」や「安定」をもてはやす世間の評価ほど、当てにならないものはないだろう。

それどころか今、経済は、あり余る工業製品の山に埋もれたまま、立ち上がる気配もない。すでに数多くの企業が潰れ、残る会社にも人員整理が頻発している。しかもこれまで数世紀にわたって、良くも悪くも社会をリードしてきた経済界の指導者たちは、今では展望を喪い、何の指針も出せないでいる。しかし他方では、物を超えた、いわば〈意識〉を売る教育産業や情報産業あるいはサービス産業が、この不況の中でも着実に生産を伸ばしてきている。

よく見れば、これは過去のいかなる不況期にもなかった、まったく新たな状況である。これまで社会の生産の主力部を構成してきた工業が衰退の度を強め、代わって<意識生産>が社会の生産の主力に成りつつある。すでに第三次産業人口は、全労働者の過半数を超えた。時代は今、工業生産から意識生産への歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。生産力という社会の基底部の転換が、社会全体の根底的な変革と激動を伴うのは当然であろう。しかもこの激動の時に、従来の社会のリーダーは無力状態に陥り、それにとって代るべき新たな生産のリーダーは、未だ力を持つまでには成長していない。状況は、さらに混迷の度を増してゆくだろう。私たちは今、指導者不在の社会の中に置かれているのである。

私たちは、このような時代の到来を、むしろ歓迎している。今ほど社会が自らの停滞を打ち破る、革命的な活力を求めている時はないからである。このような時代には、大樹の下に身を寄せる「お抱え」型の安定など、一時の気休めにしかならない。むしろ、どのような状況にも対処してゆける強靱な思想と能力を獲得してゆくことこそ、本当の安定への道ではないだろうか? たしかに状況は混沌として、頼るべき思想も今はない。しかし歴史を振り返れば、頼るべき全ての指標が失われた混沌の状況こそ、常に真の創造の土壌であった。そして時代が変る時、常にまず新しい思想が登場してきた。かつそれは、常に既成の思想の批判的超克として現れてきた。そこで私たちも、まず近代の思想から問い直してゆこう。(※本稿では、近代とは現代を含む、工業生産の時代を指す。)
 
  List
  この記事は 210193 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_211321
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
307555 【図解】自主管理への招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 石山 巌 15/09/07 PM07
282793 “もの”を作って、“売る”ことから意識生産へ転換しているかが勝っていける企業選びのポイント スガイク 13/10/28 PM06
280956 時代は転換し、企業の生産能力の源泉は”人(関係能力)”になった 橋本宏 13/09/15 PM03
280600 【幹図解】自主管理の招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 本田友人 13/09/06 PM10
260583 次代を読み、応える仕事の幅を広げる企業が勝ち残る〜株式会社サンエイ1〜 根木貴大 12/01/16 PM00
ルポルタージュなんで屋、ミンナミテル?ミンナミテル!! 「ルポルタージュなんで屋PROJECT.4」 11/02/22 AM11
245532 『自主管理への招待』を読んで ばんび 11/02/11 PM10
近代思想に支えられてきた家庭(1)〜プロローグ編〜 「感謝の心を育むには」 10/12/19 PM00
242046 モノを作る前の意識作り 石川笑美 10/12/11 PM06
社会人に求められる○○力とは? -1工業生産において、社会人に求められる力は資本力だった! 「路上で世直し なんで屋【関西】」 10/10/17 PM00
238060 自主管理への招待 矢口弘樹 10/09/18 AM10
238015 共認と感謝 川島尚 10/09/17 AM10
237950 自主管理への招待 野上恵里 10/09/16 PM00
237823 自主管理への招待に関して 小熊耕平 10/09/13 PM05
237804 変わり続けること 中川翔子 10/09/13 AM01
237765 自主管理への招待―産業と社会の大きな転換― 三池晴与 10/09/12 AM11
237667 自主管理への招待1 初井拓人 10/09/10 PM11
237584 自主管理への招待 川島尚 10/09/09 PM10
237576 自主管理への招待 矢口弘樹 10/09/09 PM01
237570 自主管理への招待 西村美香 10/09/09 AM10
237532 自主管理への招待1 足立恵 10/09/08 PM01
237507 自主管理への招待 三田英寛 10/09/07 PM11
237500 自主管理の使命感 萱間直 10/09/07 PM11
237453 自主管理への招待 鈴木碧衣 10/09/07 AM01
237417 自主管理への招待 野上恵里 10/09/06 PM00
237341 復習としてまとめてみました。 阿部有莉 10/09/04 PM10
237244 自主管理への招待 川島尚 10/09/03 AM02
237171 『人権』『自由』『平等』の矛盾 S・M 10/09/02 AM02
237155 自主管理への招待 福原啓太 10/09/01 PM10
237108 自主管理への招待 伊勢崎勇人 10/09/01 AM01
237086 自主管理への招待への研修をうけて 深井崇光 10/08/31 PM10
237082 自主管理へ招待されて 清水宏紀 10/08/31 PM10
237080 勉強会第一回目の感想 五戸愛子 10/08/31 PM10
236955 確かな時代認識を伝えてゆく役割。それが活力に繋がる。 佐藤賢志 10/08/28 PM11
236949 生産様式を認識することの重要性 藤田泰明 10/08/28 PM11
236817 自主管理への招待を学んで 小川幹大 10/08/26 PM10
236815 時代の流れ 川島尚 10/08/26 PM10
234623 意識生産 タカダ 10/07/13 PM10
自主管理への招待(1) 工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 「日本を守るのに右も左もない」 10/04/21 PM08
230420 充足や活力を生み出すことって、意識生産なの♪ 谷光美紀 10/04/21 AM00
227958 日本の指導者 竹田翔 10/03/10 AM05
227174 産業革命が起きている! 松下晃典 10/02/25 PM10
225701 【幹図解】自主管理への招待〜類的価値の生産者になるには?〜 KOU 10/02/03 AM02
225279 【図解】自主管理への招待(1) KOU 10/01/28 AM11
自主管理への招待【1】 〜工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている〜 「金貸しは、国家を相手に金を貸す」 10/01/28 AM07
224834 どんなことも「期待」として捉えられるようになった☆ 立石裕美 10/01/22 AM11
224825 【幹図解】自主管理への招待(1) 工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。⇒だから、停滞を打ち破る新しい思想が求められている!! 山田真寛 10/01/22 AM07
224771 新認識を提示した企業が時代をリードする。 やまと 10/01/21 PM00
224715 経済に対する問題意識が、「企業組織をどうする?」につながっている 匿名希望 10/01/20 PM05
224689 求められる産業も活力につながるかどうか 安部真未 10/01/20 AM11
224687 認識力によってみんなの意識が捉えられる=意識生産できる コールスロー 10/01/20 AM09
222880 35年前の共同体設立のための問題提起は時期尚早ではなかったと思います☆ 佐藤英幸 09/12/28 PM10
219893 「どのような状況にも対処してゆける強靭な思想と能力」が欲しい 匿名希望 09/11/17 PM07
219705 今の時代の欠乏に答えるには認識力が必要!! 石川笑美 09/11/15 AM06
219507 【図解】自主管理への招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 斎藤幸雄 09/11/12 PM07
216485 事実追求の確かさ 匿名希望 09/10/05 AM01
216437 【図解】自主管理への招待(1) 時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 やまと 09/10/04 PM00
216379 自主管理への招待〜実現論の歴史を感じる 狒狒 09/10/03 PM09
216039 混迷を打ち破った先に求めるのは本当の安定 三浦由衣 09/09/29 AM10
「自主管理への招待」1〜工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 「これからは共同体の時代」 09/09/22 PM03
215530 塗り重ねられたからこそ、時代にマッチした。 西田美和 09/09/21 PM03
215453 集団再生を求める意識の顕在化に35年 孫市 09/09/20 AM04
215451 「自主管理への招待」を読んで 馬場真一 09/09/20 AM03
215449 自主管理への招待が頭にすとんと入る時代になった! 汚れなき男 09/09/20 AM02
215432 今回のネットサロンでの気付き・感想 長井雅貴 09/09/19 PM11
215064 【図解】自主管理への招待(1) 工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 加来野浩史 09/09/15 PM05
地域医療再生から町づくりへ〜夕張の事例〜 「これからは共同体の時代」 09/09/12 AM09
214596 ニューアイデアの出てこない社会 嶋崎あゆみ 09/09/08 PM11
214288 今ほど社会が自らの停滞を打ち破る、革命的な活力を求めている時はない。 近藤文人 09/09/04 AM11
214115 「安定」の中身の変化〜「安定する」とは人の役に立つこと〜 橋本宏 09/09/02 AM01
214034 真のリーダーが登場するのはいつか? 大嶋洋一 09/08/31 PM10
213971 【図解】自主管理への招待(1) 工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 チウエ* 09/08/30 PM08
213788 社会の当事者として考える人を増やしていく おおさかじょん 09/08/28 AM05
213730 自主管理への招待を勉強して 市田あずさ 09/08/27 PM05
213718 役に立たない政治家、うんざりするマニュフェスト ノン 09/08/27 PM02
213669 「社会をよくするのは行政だけじゃない」の本当の意味がわかった!! 前田一 09/08/26 PM08
213599 「安定すること」は「変わること」 ス〜 09/08/25 PM11
213597 <意識> 生産と社会同化 岡喜一 09/08/25 PM11
213216 生産と社会の繋がり 大脇正嗣 09/08/19 PM10
213183 生産力が社会の基底部となっているのは何で? 山名宏明 09/08/19 PM01
213179 【図解】自主管理への招待(1) 工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。 大脇正嗣 09/08/19 AM11
213170 意識生産の「これまで」と「これから」 大森義也 09/08/19 AM05
212148 これからも事実を追究していきたいと思った 匿名希望 09/08/04 AM00
212124 35年経っても色褪せない構造認識の凄さ 山上勝義 09/08/03 PM05
211709 意識生産ってなに? 松下晃典 09/07/28 PM06
211699 答えとしての「自主管理への招待」 匿名希望 09/07/28 PM01
211532 外圧に適応するには両輪が必要だ☆ hey 09/07/25 PM11
211322 自主管理への招待(2) 社会は、生産力の転換によってしか根底的な変革を遂げることはできない 岡田淳三郎 09/07/23 AM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、42年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp