日本を守るのに、右も左もない
210834 非生産者が国を滅ぼす。
 
阿部佳容子 ( 47 大阪 営業 ) 09/07/15 PM03 【印刷用へ
国が滅ぶとは、どういうことか?いかなる過程をたどるのか?

端的にまとめている書物がありましたのでまとめてみました。

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農業が主要産業であった古代では、生産者を代表していたのは農民だった。その農民の、ローマ帝国が確実に衰退し始める3世紀から5世紀までの動向を、簡単に追えば次のようになる。

3世紀:大量の、しかも度重なる蛮族の侵入の前になすすべもなくなった農民は、耕作地を売り払うかして自分の土地を離れ、城壁に囲まれた都市に流入した。地方の過疎化と都市の過密化である。将来に絶望した人々に救済への希望を与えたキリスト教は都市部でとくにひろまったが、その温床になったのが都市の過密化であった。

4世紀:あらゆる職業の世襲が制度化される。この政策の強制によって、すさまじい勢いで進行していた地方の過疎化は、そのスピードを落とすことには成功した。しかし、侵攻してきた蛮族を迎え撃つ戦闘により、ローマ帝国領内が戦場になるのは常態になっていた。

5世紀:4世紀後半から、農民の地方への回帰現象が始まっている。それは帝国内の平和と安全が、農耕に専念できるほどに保証されるようになったということを意味するものではない。耕作地に農民はもどってきたが、以前のように「自作農」としてではなく、大規模農園にかかえられて働く「農奴」としてであった。

彼らが自ら農奴を選んだ理由はただひとつ。度重なる蛮族の来襲による農産物の争奪と身の危険、重税。農奴になればこれら自営農民の肩にかかっていた重圧がほとんど消えることになるからである。代わりに失うのは自由と独立。自作農から農奴への移行現象を一言でいえば、寄らば大樹、である。だが、「国家」が本来の責務を果たさなくなれば、個人で生き延びる道を探すしかなかった(中世の農業を支えることになる地方豪族と教会所有の大荘園は、こうして生まれたのである)。

しかし、4世紀後半から5世紀のローマ帝国にとっての真の問題は、生産者数の減少と生産性の低下に反比例するかのように増加していた、非生産者の数にあったので。軍人と官僚が二大非生産者だが、それに加えてキリスト教会関係者という、数でも力でも前二者に優るとも劣らない人々を、国家ローマは養っていかなければならなかった。

476年 西ローマ帝国滅亡


塩野七生「ローマ人の物語15〜ローマ世界の終焉」を要約

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外からの圧力に対する安全保障は、国が国民に対して最低限負うべき義務だと思う。それが果たされなくなったとき、ひとは、自由や独立という思想・精神性よりも身の保証を渇望する。下半身=本能を直撃する危機の前では当たり前の選択だと思う。

一方、そのような社会状況の中でも、ノウノウとむしろ大きな顔で生き延びられる働かざる者≒特権階級が存在するということは、何を意味するのか?内圧の低下、それは、さらなる外圧適応力の低下を助長し、負のスパイラルはとどまることをしらない。

非生産者の増長と節度を知らないのさばりは、国家滅亡のとどめを刺す。

「現代の神官としての特権的な身分を手に入れた特権階級」(968)の欺瞞をひとつひとつつぶしていかなければならないし、それができるのは新しい社会統合システムを土台とした共認運動である、と改めて思った。
 
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