法曹・官憲・役人こそ、社会閉塞の黒幕
202865 検察の特捜部はなぜ強力な権力を持っているのか?
 
モグラマスク 09/03/25 PM00 【印刷用へ
小沢一郎の公設秘書が逮捕されましたが、そこで出てきたのが、東京地検特捜部。彼らがなぜ力を持っているのか?

>この法律をを悪用しているのが特捜部だ。数ある政治家の不審な案件のうち、どれを捜査するかという「恣意性」の点で、検察が強大な権力を得ているのだ。(202574

このような恣意性を帯びる捜査が出来る状況はどうしてなのか?


「国策捜査、戦前の検察国家から戦後権限削除と特捜設立と4期にわたる歩み」(リンク
 生きてるしるし より転載


/////////////////////////////////////////////////////////////////

検察ファッショというのはあくまでも戦後の今の言葉なのだ。

 実は、戦前は検察はあまりに巨大な力を持っていて検察司法という言葉があるくらい司法の世界の主役でした。裁判でも裁判官と同等か超えるくらいの力を持っていた。捜査でも検察が主体で警察を手足のように使っていた。国家暴力の国内での有力存在だった。

 そして帝人事件という昭和9年の疑獄事件だが、政治家や企業人、官僚を捜査、帝人社長や台湾銀行頭取、番町会の永野護、大蔵省の次官・銀行局長ら全16人を逮捕起訴した。そして斎藤実内閣総辞職の原因となった。この事件の逮捕者の拘留期間は200日に及び、拷問による自白の無理強いもされた。しかし起訴された全員が無罪となり、倒閣を目的にしたでっち上げと言われた。しかし政界と政治家を弱め、軍国主義が勃興する大きな役割を果たしました。

 戦後、占領軍によりこの検察の専制化と国家暴力の先兵役が問題となり、権限を削除して捜査は警察に任せ、裁判所内に閉じ込め、単なる警察と裁判所の間の中継機関化しようとした。大きく失墜するところだった。

 しかし、東京地検の幹部の馬場義続たちが抵抗してGHQと交渉を重ねて、第一次捜査権は警察に完全に渡すが、独自捜査権限を少し残した。それを根拠に東京地検内に特別捜査部をつくった。これが現在も続く特捜で、FBIをモデルに、政官財界の重要事件を捜査する。これで捜査機関として威信を保ち国民の支持を取り付ける。つまりかつてのような司法界の主役ではなくなったがその誇りと権威は、特別捜査部を設置し、現在のような権力層を捜査することで戦後にも保たれたのだ。そして民主社会なので国民にアピールすることがだいじだったのだ。
 今までの検察の役割や動きが馬場義続の引いたこの路線をそのまま継続してきたことがわかるだろう。

しかし、それは今回まで4期に分けられると思う。

●第1期 戦後から造船疑獄事件の指揮権発動まで
 政財界を捜査するが冷戦の中共産主義政権が成立するのは困るのでそこそこセーブする。しかし、造船事件での指揮権発動でいっそうその姿勢が強くなり、引き気味になる。

●第2期 昭和30年からロッキード事件まで
 指揮権を意識して事実上準発動状態になり、政界腐敗が蔓延しているとマスコミ、国民から批判されるようになる。田中角栄が金権疑惑で辞職し、三木政権が成立。このとき法律にも無いのに検事総長が三木首相に捜査の方向のお伺いに現れ、指揮権準発動状態が証明される。三木首相は徹底解明を支持する。
 田中角栄元首相が逮捕され、検察が英雄として国民の称賛を浴びる。

●第3期 田中角栄闇将軍化と病による引退まで
 ロッキード事件で失脚するはずの田中角栄が最大派閥を率い、田中派や盟友を法務大臣に抜擢し検察包囲網を引く。その中で10年間わずかでも失敗して田中派につぶされることを恐れて政界捜査をしない。この状態は田中角栄が病で政界引退して終わる。

●第4期 冷戦崩壊とバブル不況まで
 冷戦が崩壊して、もはや共産主義の心配もなくなる。そして自民党は分裂し、力は弱まった。検察を抑えるものはなくなり、リクルート事件をきっかけに政界捜査を連続する。ここでついに検察の暴走体質が出来上がる。国家の主人公的な戦前と似た体質が先祖返り的に出てきて、金銭的にも堕落する。住専事件をきっかけに国策捜査が前面に出てくる。しかし捜査は粗雑で強引なものとなり捜査内容の質低下を招き、片っぱしから無罪となっていく。

  2002年4月に検察裏金問題を内部告発しようとした現職の大阪高検三井環公安部長を、逆に微罪の形式犯で逮捕し、リークによりマスコミ操作を行い「悪徳検事」キャンペーンを展開し、形式犯なのに事実認定もいい加減で、裁判所は1年8ヵ月の懲役刑を下す。形式犯、微罪、逮捕、リークによるマスコミキャンペーンなど現在の強引なでたらめ捜査の原型が出来上がる。このすぐ後に鈴木宗男、佐藤優国策捜査が行われ、なんら犯罪のないものが事件へと国策捜査で、同様のでたらめ捜査が展開される。

●そして今回第5期か
 今回は弱くなったはずの自民党政権を守り、突然番犬化し、政権防衛に走る。保守政治家である小沢一郎の形式犯で行政指導程度のことで公設第一秘書を逮捕し、小沢落としを狙い、マスコミリークキャンペーンをする。明らかに大きく変化した。これは情報官僚の道を歩んだ漆間巌副官房長官と検察幹部との癒着があるようだが、まだ経過中で明らかにならない。

 この大久保秘書の形式的な違法、微罪での逮捕、起訴。どんな法律違反でも起訴、逮捕すべきだという変な方もいるが法律とはそういうものではない。きちんと解釈によりガイドラインが決まっている。万能の検察国家などごめんだ。今は東欧の秘密警察国家一歩手前で危ない社会になろうとしている。どうもブログ論壇でも分かっていない人が多い。
 もう少し民主主義社会とは何かをじっくりと考えたらどうだろうか。

◎参照資料
『おかしいぞ!警察 検察 裁判所−市民社会の自由が危ない』魚住昭 大谷昭宏 斎藤貴男 三井環 創出版刊

/////////////////////////////////////////////////////////////////
 
  List
  この記事は 201919 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_202865
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
224288 東京地検特捜部はGHQの内部対立から生まれた 橋口健一 10/01/15 AM09
223230 「帝人事件」と「西松事件」の共通点〜疑獄事件に検察リークはつきもの 猛獣王S 10/01/01 PM08
211485 最高裁判所にも裏金疑惑!〜元高裁判事が司法の闇を指摘 猛獣王S 09/07/25 AM10
204143 「東大出身者は逮捕されない」の神話 猛獣王S 09/04/11 PM09
203048 冤罪をつくりだす検察 山澤貴志 09/03/28 PM04

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp