歴史
202862 三輪山、葛城山が聖域とされるのは何故か?この地の水銀=辰砂が大和建国の鍵を握っていた!
 
山澤貴志 ( 43 鹿児島 ITコンサル ) 09/03/25 AM11 【印刷用へ
古代大和王朝が奈良盆地に開かれた理由が湿地帯という特性=渡来人にとってのフロンティアという地理的要因があったとしても、何故、三輪山、葛城山の麓から始まったか、については更なる論拠が必要なように思われる。聖域とされる三輪山、葛城山一帯にはどのような秘密があるのか?それを解く鍵は「水銀」にあった。

古代より権力者が不老長寿の薬として、また各種防腐剤として重宝したのが「水銀」=辰砂であった。古来「丹(に)」と呼ばれたものがこれだ。薬の神ともいわれる徐福がわざわざ日本に捜し求めに来たものも辰砂であり、徐福伝説が残る地には辰砂が出土した地が多い。魏志倭人伝によると倭人の献上品に「丹」が登場するし、この「丹」の力で中国のミイラは2200年間内臓まで保存された事例もあるという。日本の古墳の石棺内に赤いこの鉱物が大量に発見される。また中国と日本をつないだ海人族にとっても「丹」は船の防腐剤として重要な物資だったとされる。

この水銀が手に入るのが関東から九州へ東西に走っている大断層=「中央構造線」沿いの地域で、三輪、葛城の地は、この代表地であった。中央構造線から外れるが、巨大古墳群が登場する丹後も「丹」の地である。この辰砂の産地であったから三輪山は聖地とされ、葛城氏は力をつけることができたのだ。また「三輪、葛城の鉱山資源」を基盤にした市場こそが纏向・箸墓で、ここでの市場取引によって得られる財源を基盤に、初期大和王朝は湿地帯の水田開発に着手し、開拓王としてのし上がっていったという訳だ。

つまり「水銀」が大和建国の鍵であったということだ。

その名残が水分(みまくり)神社だ。「みまくり」とは鉱物から冶金によって金属素材を取り出す工程のことである。蘇我氏が仏教を導入すると、寺院で使用する金箔や朱に、この地の水銀が重用され、蘇我氏台頭の経済的バックボーンをなした。そしてその時最新技術を日本に持ち込んだのが秦氏である。「水銀」は蘇我氏台頭の鍵も握っていたのだ。

またこの地は葛城一族を始め、役小角ら修験道を始とする政権に反旗を翻す勢力が雌伏したところだがその基盤はこの鉱物資源にあったのだ。また現在も製薬会社が高市市周辺に多くあること(富山についで全国2位)も三輪、葛城の地が「水銀」を基盤にした製薬や冶金で栄えた土地であることを物語っている。

水銀に注目すると、渡来系豪族が、土着の倭人たちを蹴散らさずに融和していった理由も見えてくる。山の鉱物を知るには、土着民の力を借りるしかなく、渡来系豪族がのし上がっていくに初期は土着民との融和策が不可欠だったということだ。

水銀が古代史の鍵を握るとする考察するブログは多いが、大和誕生の鍵として水銀に注目して本を書かれている方もおられる。田中八郎さんという方で、桜井市でペンションを営まれている郷土史家である。縄文の末裔=土ぐもを自称され、大和の歴史を光(支配者)と影(被支配者)の両面思考で追求されている。2003年に彩流社から発行された「大和誕生と水銀」は古代史を読み解く上で必読書といえる。

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