日本人の起源(縄文・弥生・大和)
202075 対馬にみる北方神話と南方神話の融合1
 
山澤貴志 ( 43 鹿児島 ITコンサル ) 09/03/14 AM05 【印刷用へ
半島と列島をつなぐ位置にある対馬は神話分析においても重要な位置を占めている。

対馬の郷土史学者である永留久恵氏の「海童と天童〜対馬からみた日本の神々」大和書房2001年発行、から注目点を紹介する。

●対馬は南方から海と稲の神々が伝来した土地

記紀には海神の祖として、ソコツワタツミノカミとソコツツノヲノミコトが登場する。ワタツミは阿曇連の祖、ツツノヲは住吉大神の祖とされる。阿曇族も住吉神も遡ると対馬の海人族を起源とする。

対馬では入江のことをワダと呼ぶ。ツは助詞でミは蛇のこと。つまり江南に起源を持つ海人族の守り神は蛇で、つまり‘海の蛇神’がワタツミなのだが、‘ワタツミ’には小童と漢字を当てる。これは対馬を拠点とした阿曇族の祖、磯良が小童とされたように、対馬に伝わる海人族の童子信仰、天童信仰をとどめたものである。

また海人族=江南人は稲作を伴って来たと考えられ、穀をもたらす日照と降雨の両方を神として崇めた。日照神=オヒデリサマ、降雨神=雷神=イカヅチサマが日本にもたらされたが、そのうちのオヒデリサマ信仰が北方由来の信仰と合体してアマテラス信仰に昇華していった。対馬には、あまてる=阿麻氏留神社がある。

注:注:「阿麻氏留」の「氏」は正確には、「底のまだれをとった字」

そして小さな穀物の粒に宿る穀霊を「天童」として崇め、収穫した穀でつくった餅や団子を日神に捧げた。これは太陽エネルギーがもたらす自然の循環への感謝を観念化したものであり、この穀神=天童の生みの親が女神「タカミムスビ」である。豆酘には「高尾むすぶの神」を祀る高御魂神社があり、記紀に登場する神々の祖神=おやがみである「タカミムスビ」に通ずる。

つまり対馬の童子信仰、天童信仰の由来は、この穀霊を天から授かった神の子だとする江南由来の農耕的神話認識を反映している。

補1:龍は胴体と鱗は大蛇のように見えるし、頭と四肢は鰐のように見える。海人族の信仰には蛇と鰐(応神代に全盛を誇った和邇氏も鰐を奉る海人族系とされる)の両方があるが、この両方が昇華されたのが龍なのであろう。

補2:ツツノヲは住吉大神の祖とされるが、対馬に豆酘(つつ)という地名があり、この系統の海人族が後に畿内へと入り、住吉大神となっていったのであろう。ツツノヲはこれも海人族の守り神である雷神を指す。雷=竜巻は、海から天に昇った蛇=龍とみなされたから、雷神信仰と蛇信仰は一体のものである。

(私の感想)神話世界には「スクナビコナ」と呼ばれる小童も出てくる。スクナビコナはオオクニヌシを助けて国つくりを進めたが、途中からオオクニヌシのもとを去る。この「スクナビコナ」も海人族を神格化したものなのだろう。オオクニヌシがアマテラス系に国譲りをした背景には海人族がオオクニヌシ系からアマテラス系にパートナーを乗り換えたことが決定的だったのかもしれない。
 
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