現代意識潮流を探る
202046 市場主義の行き詰まりに日本人は江戸を想う
 
狒狒 ( 48 ) 09/03/13 PM09 【印刷用へ
外国人記者が見た最近の日本。人々の意識は江戸時代へと回帰しているらしい。その感覚は自身を振り返っても理解できる。むしろ、ミスター円や、この記者に会った日本人の多くがその感覚であることに驚く。
みんなそうなのか?
もう欧米が示すモデルに答えはない、と潜在思念が捉えているということか。

でも、この外国人記者には理解出来ない。バカにしている感じが匂う。
フン、未だ市場絶対資本主義にさらなる飛躍が有るはずだと思っているようなアホには解るまい。

フィナンシャルタイムスリンクより
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イノセントな昔をなつかしむ日本  アジア編集長デビッド・ピリング

経済の惨状を目の当たりにしながら世界各国は、このような事態を二度と引き起こさないには何をどうしたらいいのか考えている。市場資本主義を活気づける創造的な天使たちを自由に解き放ちつつも、破壊と混乱をもたらす地獄の番犬たちは好き勝手させないよう閉じ込めておくには、いったいどうしたらいいのか? 世界各国ではそうなのだが、一方の日本ではむしろ過去を振り返ろうという人の方が多い。

このほど東京を訪れた私は、会う人会う人に、日本は経済危機にどう取り組むべきか質問していった。そしてそのたびに、質問した相手はまるで忍者のような素早さで、明治以前の日本について言及するのだった。19世紀半ばにアメリカの軍艦によって無理やり開国させられる前の日本は、まるでアダムとイブがエデンを追われる前のような、原罪なきのどかな時代だったと言わんばかりに。当時の日本はまだ、世界の中で生きるためにゴリゴリ薄汚く働かなくてもよかったのだと、そう言うのだ。

「ミスター円」と呼ばれ続ける榊原英資・元大蔵省(現・財務省)財務官は、明治以前の日本は平和で整然としていて、手つかずの、人懐っこい国だったと言い、そういう国に立ち返るべきだと話す。

また、経済政策について質問した民主党の「次の内閣」閣僚は、江戸時代の日本は輸入量がほとんどゼロだったと言及(江戸時代の日本はほとんど200年間、出入国を事実上禁止していたのだから、輸入量ゼロは驚くに値しないのだが)。この政治家によると、日本が輸出を始めたのはただひたすら、国を守るために軍隊を築き上げる必要があったからで、それ以外の理由はなかったという。そしてその決断のせいで日本はこんにちのような、工業製品を海外消費者に売ることで成り立っている、過剰なまでに輸出依存型の国になってしまったのだと。

一年の半分を日本で過ごす、コロンビア大学のベテラン学者、ジェリー・カーティス教授によると、今の日本には確かに危機感よりも、昔を懐かしむ強いノスタルジアのにおいがたちこめているという。

「インテリの多くはアメリカを丸ごと拒否しはじめている。ネオリベラルな自由市場資本主義をそっくりそのまま鵜呑みにしていた人でさえ、もうアメリカはいらないと言い始めた。今の日本では、いかに日本の過去が素晴らしいかを語り合うのが、言論の主流になりつつある」

経済危機を機に、(明治時代にさかのぼらないまでも)戦後日本の三つの柱に対する評価が、大きく塗り替えられている。

一つ目は政治だ。(わずか10カ月の空白をのぞいて)過去半世紀にわたり日本を統治し続けた自由民主党の死は、あらかじめ予言されていたに等しい。これまでも何度か危篤状態に陥っては息を吹き返してきた自民党だが、今度こそいよいよ臨終を迎えようとしている様子だ。信頼できる政策がない、しかも特に信頼できる経済政策をもたないというのが、自民党が抱える問題の一部だ。自民党がまるで王族よろしく自分たちは権力を握っていて当然だといわんばかりにふるまっている姿を(二世や三世の世襲議員が異常なほど多いのが、その象徴だ)、国民が怒っていることも、自民党の問題の一部だ。政治システムをぶっ壊したはずの、過激なアウトサイダーだったはずの小泉純一郎氏でさえ、自分の議席を息子に譲ったばかりなのだ。対照的に野党・民主党は(世襲議員もそれなりにいるが)若きテクノクラートであふれている。遅くとも9月までには行われる次の総選挙では、民主党が勝つだろう。

日本の言論界がいまさかんに攻撃している、戦後日本のもうひとつの大黒柱は、官僚システムだ。かつては「奇跡の経済復興を主導した、無私無欲で優秀きわまりない日本の官僚」と称えられていた世間における役人のイメージは地に堕ちてしまった。今や世間的イメージでいう官僚とは、私利私欲に走る強欲なエリートで、政策失敗を専門とし、楽で実入りのいい天下りポストを自分にごほうびとしてあげることに汲々としている連中のことになってしまった。

崩れつつある三つ目の柱は、戦後の経済モデルそのものだ。今の日本では、戦後経済の礎となった製造業重視を弱めて、農業重視への転換がさかんに主張されている。たとえば世界は二度とかつてのような消費レベルを回復しないだろうと考える榊原氏は、製造業を主力とする日本はおそらくこの経済危機で最も苦しむだろうと指摘しているのだ。

日本の農業は手厚い保護政策で守られているというのが、一般的な見方だ。けれども日本人は、カロリーベースの食料自給率が40%でしかないことを心配している。民主党は農家補助の大規模拡大や戸別農家主体の農業の産業化推進を主張しており、榊原氏はこれを支持。榊原氏はさらにトヨタ自動車に対しても、自動車産業は今や斜陽産業なのだから、トヨタのエンジニアを使って農業の効率改善に取り組むべきだと説得を試みてきた。「ジャストインタイム方式」で作られたニンジンの時代がまもなくやって来るかもしれない。

世界は今、金融メルトダウンに必死で取り組んでいるし、日本の製造業は受注減の衝撃にさらされている。そういう状況でこうやって日本国内で、のどかな農業社会の幸せや明治以前の古き良き日本についてさかんに取りざたされている様子は、いささかシュールではある。つまりそこからうかがえるのは、これぞというアイディアを懸命に探し求めている国の姿だ。そういう状況だからこそ、半世紀目にして自民党を破る絶好のチャンスが、野党にも巡ってきたと言える。しかしもしも日本の国民が選挙で新しい政権を選ぶとしたら、それは何か新しいものを求めてというよりも、もっと古いものを求めてそうするのかもしれない。
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新しい潮流1 社会捨象→不全捨象の充足基調(’70・’80年代)
新しい潮流2 私権統合の崩壊と社会収束の潮流(’90・’00年代)
新しい潮流3 社会不全⇒認識欠乏の蓄積
新しい潮流4 言葉それ自体が引力を持ち得ない時代
新しい潮流5 実現派は仲間収束から社会収束へ
新しい潮流6 解脱仲間から認識仲間への逆転
仲間圧力と認識仲間
新しい潮流は、新しい人間関係を必要としている
市場社会の、カタワの「集団」
本当は、「集団」に入ったのではなく、社会に出たのだ
古い人間関係は、影が薄くなるばかり
関係パラダイムの逆転1
関係パラダイムの逆転2
活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること
収束不全発の適応可能性の探索、その深くて強い引力
充足基調から探索基調への転換
'90年代の危機感と変革期待の行方
秩序収束と答え探索の綱引き
潮流2:戦後日本の意識潮流
潮流3:’70年、豊かさの実現と充足志向
潮流6:’95年、私権原理の崩壊と目先の秩序収束
潮流9:経済破局を突き抜けてゆく充足・安定・保守の潮流
今後10年間は充足⇒活力を上げれば勝てる 
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(1) 共認充足が最大の活力源。'10年代はそれだけで勝てる
市場時代の共認非充足の代償充足⇒解脱(芸能)埋没
'70年〜現代 収束不全⇒本能的な秩序収束⇒課題収束⇒認識収束
現代〜近未来 対象への同化こそが新しい認識を生み出す
大学生が授業に出るのはなんで?
「やりがい」に潜む社会的欠乏
カリスマ 〜自分たちが共認できる価値観への評価収束〜 
仲間収束 2:一人でできない子
「働きたいから働こう」という意識
快美欠乏に替わって、認識の統合が最高価値になった。
判断の土俵とは、人々の潜在思念が作り出した共認圧力の場
『必要か否か』が環境問題に対する基底的な答えになる
芸能か、認識形成か

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