暴走する悪徳エリートの所業
201900 ウォルト・ディズニーとプロパガンダ(1)
 
復讐の叫び 09/03/11 PM01 【印刷用へ
ディズニーといえば、日本でも非常に有名な存在です。ディズニーランドがその代表です。彼らがここまでの企業にのし上がったのも、政治・有力者との関係があったのだろうと容易に想像が出来ます。その事について『ウォルトディズニー』 、『闇の王子ディズニー』という図書にて紹介されている。以下にその内容を言及しているものを紹介します。

読書日記と着物あれこれ
「創造の狂気 ウォルト・ディズニー/ニール・ガブラー、中谷和男(訳)」
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以下引用です。

「副島隆彦の学問道場」
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(前文略)〜「プロパガンダ」と聞いて私が思い浮かんだのは、世耕弘成(せこうひろしげ)議員でも、ナチス宣伝相ゲッベルスでもない。ウォルト・ディズニーである。そう、あのディズニーアニメーションの製作者、ディズニーランドの創設者である、ウォルト・ディズニーである。ウォルト・ディズニーといえば、大抵のひとは平和な子供の夢の世界しか思い浮かばないだろう。企業経営者などの現実的な方々であれば、大企業ディズニー社を創始した経営者という捉え方をするかもしれない。

しかし、実際のディズニー氏はそれよりもっと「政治的」なのである。具体的には、政府の意を汲んで戦時プロパガンダに進んで参画し、労働組合運動を弾圧しようとした反共主義者であり、ハリウッドの赤狩りに協力し、FBI長官フーヴァーのもとでスパイとして働いたという経歴をもっている人物である。

そして、だからこそ今日のディズニー社のような巨大メディア帝国を築き上げることが出来たのである。ただ子供のような夢を追い続けているだけでは社会的に成功できるはずはないのだ。この事実は、ディズニーの評価を上げることはあっても下げることはないだろう。

〜中略〜

■ストライキと南米旅行
ディズニーの「裏側」ともいえる活動を、政府側で手引きをした人物こそがFBI長官のエドガー・フーヴァーである。さらに、フーヴァーの背後にいる人物こそ、ネルソン・ロックフェラーなのである。

このことが露見するのは、ディズニー社がとりあえず軌道に乗ったあとの、従業員のストライキ騒動の場面からである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
1941年のストライキは、ウォルトに大きな影響を与えた。それは、政治とか従業員に対する彼の姿勢に影を落とすことになり、ウォルトをますます保守、反共へと追いやった。また、ディズニー・スタジオを従業員の楽園にしようという計画にも彼は幻滅を感じた。従業員は出勤時と退社時にタイムカードを押さなければならなくなり、昔、スタジオの初期に制作スタッフが経験したような、自由で親密なウォルトとの交流は、もう永久に戻ってこなかった。(p. 192)
(引用終了)

トマスの『ウォルト・ディズニー』に記載されているこのような文章を読むと、なぜウォルトに対して従業員が歯向かったのか理解できない。正伝ではつねにウォルトは善玉だからだ。しかし、従業員がやむに已まれずストライキに突入したのはよほどの理由があるだろう。

単純に考えれば、ディズニー社での労働環境が悪かったのだろう。今でも変わらないらしいが、アニメーターという職業は「労働集約的」な職業である。絵を書くというのは機械化、自動化しずらい作業であり、手作業である。そのため、人海戦術が必要となる。利益を上げるためには、人件費を抑えなければならない。

しかし、ここで述べたいのは労働環境のことではない。悪化するストライキの状況から逃れるため、ウォルトは「親善と映画制作を兼ねた」南米旅行に出かけるのである。『ウォルト・デイズニー』より引用する。

(引用開始)
ところで、南米旅行の話をもってきたのは、国務省米州局の調整役ネルソン・ロックフェラーの下で働く映画部の部長ジョン・ホイットニーであった。彼は、ディズニーがスタッフとともに南米を訪れ、アメリカ文化の芸術的側面を紹介してくれれば、中南米諸国に対する政府の善隣政策が功を奏すると説明した。そしてそれは緊急を要する、とホイットニーは言った。南米にはドイツ系やイタリア系の移民が多く、枢軸国に同調する空気がかなり濃厚であった。1941年半ばの時点においてアメリカ合衆国はまだ参戦こそしていなかったが、連合国を支持しており、ナチやファシズムの影響が西欧諸国に広がることを恐れていた。(p. 193)
(引用終了)

ここで、ネルソン・ロックフェラーが登場する。そして、政治的理由によりウォルトにミッションが課されたことが読み取れる。善隣政策とは、今でいえば宣伝を多用したいわゆる軍事力(ハード・パワー)に対抗する意味での「ソフト・パワー」による外交であろう。第一次大戦と第二次対戦の戦間期に、南米においてこのような植民地の駆け引きがあったことはあまり知られていない。『闇の王子(下)』にはさらに詳述されている。

ネルソン・ロックフェラーは戦時中、ローズヴェルト大統領のアシスタントを務めた
1935年から1972年までの長きにわたりFBI長官として君臨したエドガー・フーバー

(引用開始)
南アメリカへの「親善」旅行を考えついたのは、一般には国務省米州調整局の映画部長ジョン・ジェイ・ホイットニーだということになっているが、じつはロイ(引用者注:ウォルトの兄、ディズニー社の財務担当)の発案によるもので、彼がJ・エドガー・フーヴァーに、その実現に手を貸してくれるよう頼んだのである。

ローズヴェルト大統領は南アメリカでのナチス・ドイツの影響力増大に対する懸念から、国務省に新設された米州調整局のポストにネルソン・ロックフェラーを任命した。ロックフェラーは以前、ダリル・F・ザナックとオーソン・ウェルズの映画プロジェクトのスポンサーとなったこともあり、ロイの要請を受けたフーヴァーはローズヴェルトに、ディズニーもプログラムに参加させるべきだと提案した。ローズヴェルトはこの提案をロックフェラーに伝え、彼がディズニーに南米へ旅行に行かないかともちかけた。(p. 32)
(引用終了)

この南米への「プロパガンダ旅行」は、ロックフェラーの、そしてフーヴァーFBI長官によるウォルトへの指図であった。ウォルトとフーヴァーはこの時点ですでに顔見知りであったのである。では、このまったく生まれも業界も異なるふたりはどのように知り合っていたのだろうか。

以上、引用終わり。(2)に続く。
 
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