思想
200293 『新書アフリカ史』宮本正興+松田素二著
「搾取事例に隠された自己正当化という視点」
 
土屋範明 ( 25 神奈川 会社員 ) 09/02/22 PM08 【印刷用へ
この本の書かれた視点は、「アフリカは世界史の一部ではない」というヨーロッパ側の歴史観でしか語られなかった歴史に疑問を投げかけたところにあります。

〜以下、はじめに―アフリカから学ぶ より〜
********************************
アフリカの歴史は外部世界の資料を使って、外部世界の人間が書き上げることとなった。この結果生み出されたのが、植民地的歴史観であった。
他人の経験を、有無を言わさず、自分流に解釈し、定義するというのが、昔から植民地主義の常套手段であった。

〜(中略)〜
しかしこれは形を変えた歴史の歪曲であった。ヨーロッパ的な歴史の展開をスタンダードとする進歩史観を共有していたからである。王や貴族がいて宮廷がある社会で、固定した権力者をつくらない無頭制の社会は、遅れた社会という基準は普遍的なものではないはずだ。

〜(中略)〜
可能なかぎり、偏見や先入観からの解放を意図しながら、ここに一つのユニークなアフリカ史像を提示できたのではないかと考える。

 目次
はじめに---アフリカから学ぶ
第1部 アフリカと歴史
 第1章 アフリカ史の舞台
 第2章 アフリカ文明の曙
第2部 川世界の歴史形成
 第3章 ザイール川世界
 第4章 ザンベジ・リンポポ川世界
 第5章 ニジェール川世界
 第6章 ナイル川世界
第3部 外世界交渉のダイナミズム
 第7章 トランス・サハラ交渉史
 第8章 インド洋交渉史
 第9章 大西洋交渉史
第4部 ヨーロッパ近代とアフリカ
 第10章 ヨーロッパの来襲
 第11章 植民地支配の方程式
 第12章 南アフリカの経験
第5部 抵抗と独立
 第13章 アフリカ人の主体性と抵抗
 第14章 パン・アフリカニズムとナショナリズム
 第15章 独立の光と影
第6部 現代史を生きる
 第16章 アフリカの苦悩
 第17章 二一世紀のアフリカ
********************************

ヨーロッパの歴史観(自己正当化観念)自体が、思考的欠陥を孕むことへの問題視から、本書を参考にしましたが、著者との問題視も同じ位相にあり、読み取る視点が固定化しやすかったです。
例えば、「野蛮の発明」や「二重の委任論」など、搾取構造と思考構造の関係が分析されているあたりが、とても参考になりました。

「搾取事例に隠された自己正当化」という軸を固定して、本書を読み解くことで、記事リンクのような分析ができました。

環境問題を引き起こす思想的な欠陥 1(198867
環境問題を引き起こす思想的な欠陥 2(198868
で指摘されていますが、現在の環境活動に隠された思考的問題が、アフリカへの搾取構造と大きく関係していることが、明らかになったのではないでしょうか。
 
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