新しい男女関係(→婚姻制)の模索
197323 男女別学 −脳の差という視点で考える−
 
復讐の叫び 09/01/15 AM04 【印刷用へ
男女の脳の性差の視点から書かれた本の書評がありましたので紹介します。男女別学に関する事例も合わせて紹介されていますので非常に興味深い内容となっています。

現在、日本では少子化の流れより生徒数の確保の観点から男女共学へと移行される学校もあるようですが、そもそもに立ち返ってどうするかを考えていく必要があるように思います。

また、この書評にある「男の子の脳、女の子の脳――こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方」は読んでみる必要がありますね。

草思社 立ち読みコーナー
 リンク

男の子の脳、女の子の脳――こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方
レナード・サックス 著 / 谷川漣 訳

「男の子と女の子は同じ学校でいいのか」

 これまで見てきたように、脳のさまざまな部位は、女の子と男の子では異なる順序で、異なる予定表に従って発達する。同じ音符を大声で歌いながら同時に小声で歌うことはできないように、学校をどちらかの性に合わせようとすれば、いきおいもういっぽうの性が犠牲になる。共学校でも男女別の学校でも教えた経験をもつベテラン教師、アンドルー・ハンターはこういう。「男子と女子がいっしょにいる教室で教えるのは、二つのクラスを同時に教えるようなものだ」

 この悪い空気を断ち切るには、女の子と男の子を別々に分けることだ。男子だけのフランス語のクラスは、男子女子がいっしょのフランス語のクラスとはずいぶん様子がちがう。男子女子いっしょのクラスでは、フランス語らしい発音でしゃべろうとする男の子はガリ勉タイプだけ、ということが非常に多い。だが男子だけのクラスでは、だれの発音がいちばんいいかを全員で競おうとする。

「男女共学の学校には、ジェンダーの固定観念に向かおうとする、不当で隠微な圧力があるのではないだろうか」とミスター・ハンターはいう。「大方の女子には、基本的に男子のものと思われている教科や活動に参加することをためらう傾向があります。いっぽう男子校では、男の子がこだわりなく本来の自分でいられる。そして男らしくないとみなされそうな分野、たとえば音楽、美術、演劇への関心を深め、才能を伸ばしていけるのです」ベルモント・ヒル・スクール(マサチューセッツ州にある男子校)の校長、リック・メルヴォインも同意見だ。男子だけの環境は、「生徒を型にはめようとする傾向や、男はこうあるべきだといった固定観念から、彼らを自由にします」。

 彼の学校では、グリークラブで歌を歌う男の子や学校の演劇で舞台に立つ男の子が、フットボールやサッカーをやる男の子より男性的でないと見られるようなことはないという。やはり男子校であるロクスベリー・ラテン・スクールの教師ブライアン・バックリーも、同じ考えをもっている。「わたしが以前教えていた男女共学の学校では、いつも女子が美術のクラスの中心にいました。しかしここでは、男子が尻込みすることはありません。この男子校では、スポーツの得意な生徒は美術も得意なんです」

 皮肉としかいいようがない。共学校にはジェンダーの固定観念を強化する傾向があり、男女別の学校にはジェンダーの固定観念を打ち破る傾向があるのだ。強力な証拠がそのことを示している。女子校の女の子は共学校の女の子とくらべて、コンピュータ科学や物理といった教科を取ることが多い。男子校の男の子は、能力的にはほぼ等しい共学校に通う男の子とくらべて、美術、音楽、外国語、文学を学ぶ例が二倍になる。

 男女別の教育の利点は、学業だけにはとどまらない。モントリオールの低所得地域にある公立校、ジェイムズ・リン・ハイスクールの例を見てみよう。五年前に校長のウェイン・コムフォードは、この学校を男女別の組織につくりかえた。女子と男子のクラスを完全に分けるようにしたのだ。この改革があってから、常習の欠席は三分の一に減り、標準テストの点数も一五パーセント上昇し、大学への進学率もほぼ倍になった。それだけでも十分すばらしいのだが、先日ミスター・コムフォードから聞いた話をぜひ紹介しておきたい。リン・ハイにまつわる表向きの報道には決してあらわれないことだが、男女別の方式に変更されてから、一〇代での妊娠の割合がいちじるしく減少したのだ。以前は一年につき平均一五人ほどいたのが、いまは一年で二人ほどになっている。

 わたしがこれまで訪れたすべての女子校で、教師、管理職、生徒指導員だけでなく、生徒たちも口をそろえて証言していた事実がある。望まない妊娠の起こる割合が、近隣にある公立および私立の共学校よりもはるかに低いということだ。もちろん、ほとんどの学校では、卵が先かニワトリが先かを判断するのはむずかしい。女子校で望まない妊娠が起こる率が低いのは、もともと妊娠しないような女の子が女子校を選ぶからだろうか? それとも女子校には、望まない妊娠を減らす何かがあるのだろうか? リン.ハイの例は後者の可能性を示している。なにしろリン・ハイの場合、生徒そのものにまったく変化はなく、カリキュラムも先生も、学校の予算も変わっていない。ただ男女別の方式に切り替えただけで、妊娠の率が低下したのだ。

以上引用終わり。
 
  List
  この記事は 197244 への返信です。
  この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_197323
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
259056 改めて男女別学による教育が見直されている〜桐光学園の事例 一力広明 11/11/27 PM03
245773 脳の性差は男女の能力差ではない 佐藤晴彦 11/02/16 AM02
男女別学を見直す 「共同体社会と人類婚姻史」 10/01/17 PM05
224306 男女のどちらが優れているかではなく、互いの特性を知って補い合う関係が理想 匿名希望 10/01/15 PM05
224241 「ジェンダーの固定観念」とは何か 山田孝治 10/01/14 PM06
224213 男女共学とは 〜その歴史と意味〜 猪飼野 10/01/14 AM07
224195 男女別学が崩れてきた本質 R 10/01/13 PM11
224187 男女は別の方がいい?〜公立校に共学見直しの気運 匿名希望 10/01/13 PM10
222203 男女の性差(1) 〜ホルモンの違い〜 復讐の叫び 09/12/18 PM11
2007年イチオシの本―「男の子の脳、女の子の脳」再び 「非常勤講師はつらいよ」 09/03/08 PM07
男女別学〜女の人たちが集まれる場がポイント〜 「地球と気象・地震を考える」 09/01/29 PM10
198110 男女の存在原理に則した教育 マニマック 09/01/23 PM11
198024 クラブを指導していて Ka2 09/01/22 PM10
197503 『惹かれあう二人、すれ違う二人』 ・・・ NHKスペシャル「シリーズ 女と男」 より 大森義也 09/01/17 AM09

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
ミス大爆発⇒警戒心発の集中力はガタガタ⇒共認圧力発の集中力を形成するには?
トラブルの根底に指揮系統あり。全てをネットへ
隠蔽・言い訳・誤魔化しの横行によって崩壊する私権体制
活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること
今後10年間は充足⇒活力を上げれば勝てる 
新卒者向けセミナー「経営者が語る」〜これからの時代企業が生き残っていくのに必要な力は何か(前半)
新卒者向けセミナー「経営者が語る」〜これからの時代、企業が生き残っていくのに必要な力は何か(後半)
自主管理への招待(1)工業生産から意識生産へ。時代は今、歴史的な生産力の転換を遂げようとしている。
自主管理への招待(2) 社会は、生産力の転換によってしか根底的な変革を遂げることはできない
自主管理への招待(3) 生産から離脱させ、消費へと逃避させるだけの近代思想
自主管理への招待(4) 「頭の中だけの自己」から「実現対象」への追求ベクトルの転換
自主管理への招待(5) 否定し要求するだけの「閉塞の哲学」から、実現対象を獲得した「解放の哲学」へ
自主管理への招待(6) 実現思考とは何か
自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則
学生に与う1 いま、社会の基底部で何が起きているのか
学生に与う2 私権の終焉と市場の縮小と権力の暴走
学生に与う3 新しい活力源は、周りの期待に応える充足
学生に与う4 先行して共同体を実現した類グループ
学生に与う5 共同体の母胎は女性が生み出す充足空間
学生に与う6 この行き詰った社会をどう再生するか
供給発のカギは、ゼロから新しい供給者を育成してゆく仕組み
新概念を使いこなせて、はじめて供給者になれる
「観念力を鍛えるには?」(1) 話し言葉と書き言葉の断層はどこから登場したのか?
「観念力を鍛えるには?」(3) 「理解する」とはどういうことか?
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(2) 学習観念が役に立たないのはなぜか?
出来ない、覚えられない
「みんなの成功体験」ならいくらでも積める
対面会議の欠陥
民主主義=会議という固定観念
集団統合の新たな仕組み:対面会議を超えて、全てをネットへ
企業革命の切り札は、社内ネット
経営者への提言:会議から社内ネットへ
行動方針4 まず身近な職場を改革してから、社会をどうするかを提示せよ
新時代を開くのは、共同体企業のネットワーク
共同体企業のネットワークをどう構築してゆくか
『類グループが勝ち続ける理由』〜まとめ〜
協同組合法:出資・経営・労働を一体化した働き方をしている人たちは10万人を越えている
「人口減少社会の衝撃!!これからの働き方はどう変わる?」〜今、なぜ労働法について考えるのか?〜
感謝の心を損なう「有給制度」に代わる、『有給休暇一括買取方式』

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp