西洋医療と東洋医療
197279 現代の食料・農業問題〜誤解から打開へ〜  「生産者の向かう方向」
 
鈴木康仁 ( 25 愛知 農業 ) 09/01/14 PM07 【印刷用へ
鈴木宣弘 著 『現代の食料・農業問題〜誤解から打開へ〜』(創森社)

から、生産側のこれからの方向性のヒントになる部分をまとめてみました。
具体性はなかなかなく、CO2の話も入ってますが、方向性は的を得ていて共感できました。

以下 引用・まとめ
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◎どんな状況においても消費者が国産を選択するような生産者と消費者の絆ができるかどうかが重要である。

◎国産農産物への消費者の支持と身体が強固になるためには、生産者は、薄っぺらな小手先の販売戦略ではなく、この人が作るものなら大切に食べたいと消費者をひきつけるような、根本的なところで、生命の維持に不可欠な食料を、その生産過程も含めて、最良の形で消費者に届けるというミッション(社会的使命)に誠意を持って取り組み、消費者がこれをしっかり受け止めて支えてくれるシステムのさらなる強化が必要である。

○そうなれば、信頼する者が困ったときは自然に支え合える。コスト高になったときは、高い値段でも支え、価格に反映できなくても、財政から多様な価値への対価として支援することへのコンセンサスも生まれよう。

・消費者アンケートを行うと、一般的に、「高くても国産農産物を買う」と答える消費者が90%近くを占める

◎具体的な行動に結びつくインセンティブ(要因)を高める努力も必要である。

・生協関係者:国産を買うことで節約されたCO2を生協の連合体でまとめて排出権取引で販売し、その収益を消費者に還元するというアイデア

・韓国:企業や家庭で一定の算定ソフトに基づいて削減できたCO2量に応じて1ポイント=50円程度の率で、公共交通機関の利用券を配布するような制度を導入している

・イギリス:ポテトチップスの袋に、ジャガイモの生産から加工、輸送を経て店頭に並ぶまでの全過程を合計したCO2排出量を記載するメーカーがある

・スイスの生協:CO2 championという取り組みで、いくつかの商品に2008年から同様の表示を始めている。

・農林水産省:CO2の「見える化」という表示の取り組みを始めた。

○それらは、低投入、地産地消、旬産旬消が環境にもっとも優しいことを数値化して納得していく試みである。

(p68-70)
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○国民に不可欠な牛乳の供給が滞る危険を回避することは、酪農家を救うにとどまらず、日本国民の健全な食生活と健康を維持するために、

◎消費者、スーパー、メーカーのすべてが事態の深刻さを理解し、適切な対処を早急に行うべき問題である。

・仮に生産者段階での5円の値上げは末端で15円強、10円なら30円強という形で、かなり大きな小売価格上昇につながる。しかし、これらの事情は、関係者の間で融通を利かせる部分はあるはずで、5円なら20円、10円なら30円という関係を杓子定規に前提にするのには疑問がある。実際、米国の生産者乳価には大幅な上昇が生じているが、小売価格の上昇はそれほど大きくない。

(p121)
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・酪農家が生きていくためには経営の効率化は不可欠

・牛が十分に運動できる放牧スペースがないのに頭数を増加すると、糞尿の過投入で、亜硝酸窒素の多い牧草によって牛が酸欠症で死亡してしまう。最近でも年間100頭程度の牛が日本で死亡している。

・遺伝子組み換えのBST(牛成長ホルモン、Bovine Somatotropin)が牛乳生産の効率化技術として登場し、アメリカでは使用開始したが、対応した飼養管理を上手くしないと、牛はバテて病気になってしまい、牛の病気が増えてきたため、BSTを中止した酪農家も多い。

・BSTの牛からの牛乳・乳製品はインシュリン様成長因子IGF−1が増加するが、大量摂取による発ガンリスクが、男性の前立腺ガンで4倍、女性の乳ガンで7倍、という論文が発表されている。

・世界的なコーヒーチェーンのStarBucks、巨大な小売チェーンのWalmart、全米最大の飲用乳メーカーのDean Foodsといった著名な存在が、BSTを投与された牛乳・乳製品を拒否すると宣言した。

・日本では120〜130℃で2秒の超高温殺菌(アメリカやイギリスは72℃15秒or65℃30分 )によって、@ビタミン類が最大20%失われる、A有用な微生物が死滅する、Bタンパク質の編成によりカルシウムが吸収されにくくなる、などの栄養面の問題が指摘されている。

○自然の摂理に逆らうことが、環境や牛の健康や人の健康に様々な悪影響を及ぼしつつある。

○定説にはなっていなくとも、可能性のある指摘については、消費者の健康を第一に、もう一度、この国の牛乳のあり方を考え直してみる姿勢が必要。

○つまり、経営効率を優先することは大事だが、それが環境や牛の健康や、そして最終的には人の健康に悪影響を及ぼすというのなら、これは根本的に考え直さなくてはならなおいではなかろうか。

◎環境に負荷を与え、牛を酷使し、それが結局、人の健康も蝕むならば、それで儲かって何になるか、ということになろう。極端に言うと殺人者と変わらない。業界としても、仮に目先の業界の利益にはなっても、全員で「泥船」に乗って沈んでいくようなものである。

◎まず、人の生き方として、モラルとして、環境、動物福祉、人への安全性への配慮をきちんとした上で、経営効率での競争が行われるのが理想であり、そのためには、牛乳を極端な価格競争に巻き込まないことが大事である。

◎消費者の購買行動が問題だという見解もあるが、環境、動物福祉、人への安全性への配慮をきちんとした「本物」でないと買わない消費者になってもらうよう十分な情報開示と啓蒙を行うことが不可欠であろう。

○要するに、経営の成立・存続と牛の健康が矛盾するような社会ではなく、牛を大切にし、健康な牛になってもらわなければ経営も成り立たないような社会が望まれる。

◎現実に着実に世の中はその方向に向かいつつあることを認識すべきであろう。

(p133-136)
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引用・まとめ 終わり
 
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