農村を活性化させる為には?
197102 東北農業、再生への道のりE 「地域が支える農業」
 
芝田琢也 ( 27 兵庫 農業 ) 09/01/12 PM03 【印刷用へ
農ハウ 結城登美雄コラムよりリンク

2007年vol.3「地域が支える農業」
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 市場経済からの風圧と巨額な財政赤字で余裕を失った国が、国民食料の安定を保証できなくなりつつある。食料自給率はついに40%を割ってしまった。しかし、人間は食べなければ生きてはいけない。食は国民の生命財である。それを国だけに頼らず、身近に暮らす人の力で食と農を安定させられないか。地域が支える農業。そんな試みが始まっている。

 宮城県大崎市鳴子温泉。湯の町として知られる鳴子だが、ここには620戸の農家がある。しかし、大規模化を進める国の政策転換で支援を受けられるのはわずか5戸。加えて米価の長期低落に歯止めがかからない。生産意欲を失ってか、すでにこの10年で水稲面積は31%も減り、耕作放棄も4.5倍に増え、120戸が離農した。

 こんな農家の窮状に、同じ町に住む隣人としてできることはないのか。旅館、食堂、農家、行政など町のみんなが集まって何度も話し合いながら出した結論は、地元の力を合わせて、農家が安心して米づくりができる土台を築こう。現状12,000千円の生産者米価を18,000円に引き上げ、これを5年間保証する。そして食べ手はこれを24,000円で買い支えるという市場原理とは正反対の活動である。

 作付面積は5年かけて100ヘクタールを目標とするが、むしろ目指すのはその食べ手の広がり。品種は水の冷たい山間地でもたくましく育つ「東北181号」。まだ無名の米だが2年目の今年は稲刈り前に八割の予約が入った。しかし完売が目的ではない。深めたいのは米と農地の大切さ。それを育てる人の大切さ。そして農業農村への理解。この「鳴子の米プロジェクト」の活動に、こけし工人、漆職人、中学生たちと、町の多くの人が協力を申し出てくれた。

 そして町外からも、まずは食べることで支援したいと応援団が集まった。作り手と食べ手が直接向かい合えば、少しずつ食と農の関係が変わっていく。

 地域が支える農業。それは食や農家農村を支えるだけではない。水や緑の地域環境、地域の多様な文化。そして次世代に手渡す大切なふるさとを守ることでもある。東北に暮らす幸せと安心は何よりも食が豊かであること、それを支える人が身近にいること。地域が支える農業とは、それをあらためて確かめる地域づくりの運動でもある。
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農業をやっていく上では、やはり一企業だけでは限界があるように思われる。土地や水利、気候や風土、人々の繋がりも、その地域共有の財産である。農業と地域は切っても切り離せないものだから、そこに住む人々の協力がない限り先へは進めない。しかし、この事例から企業の役割を考えると、如何にして人々をまとめるか?であると思われる。農村であれ村落共同体はバラバラに解体されている。この共同体を再生していくには、最先端の生産体である企業の活力が必要になってくる。
 
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