新資源・新エネルギーの開発は?
196630 都市鉱山の活用法〜単純な技術で高含有比率の粉砕物を取り出すことが可能〜2
 
狒狒 ( 48 ) 09/01/06 PM05 【印刷用へ
〜1から

──どのような手法を開発されたのでしょうか?

工業製品を構成している材料は、モノの外形を保つ構造材料と、光や電気を出す機能性材料の2つに大きく分けられます。ICチップやコンデンサーなどの機能材料は、プラスチックやアルミの枠といった構造材料に守られているというわけです。

みんなが欲しいのは機能材料の中に含まれる貴金属やレアメタルで、これまでは構造材料から機能材料をはがして金属を取り出そうとしていました。しかし、丈夫な構造材料はそのままにして、機能材料を粉にして金属を取り出せばよいのではないか。

そう考えて発表したのが、洗濯機くらいの大きさのボールミルを用いた手法です。携帯電話を1台入れてボールミルを作動させると、基板の板の部分やアルミ、プラスチックの枠はそのまま残り、メッキやチップは細かく砕かれて粉になりました。この粉に金や銀といった貴金属や、錫、パラジウムなどのレアメタルが含まれています。

基板の配線に使われている銅は、大きな破片の方に残ります。一番価値があるのは金ですから、まず金で利益を上げ、その利益を使って基板に含まれる銅を取り出せばよいでしょう。

──ボールミルに入れるだけでこんな風に分離できるのですね。

このサイズのボールミルに携帯電話1台を入れた時の最適条件は見つけました。サイズの異なる複数のボールを組み合わせて使います。あるボールは表面にある出っ張りを砕くため、角張ったボールは表面に張り付いているものをそぎ落とすために使うという具合です。

現在は550Wのボールミルに携帯電話1台を入れて、2時間回しています。この手法を使うことで、携帯電話1台から金属資源を取り出すためのコストは9.7円になりました。

──携帯電話より大きな、例えばDVDプレイヤーのようなものでも大丈夫ですか?

ボールミルに入らないゴミは、普通の破砕機でつぶしてから入れればよいだけです。

──取り出した粉には、どのくらいの割合で金が含まれているのでしょう?

だいたい金が0.9‰(パーミル)、つまり粉1kg当たり1g弱の金が含まれていることになります。これは、天然の金鉱石に比べて数百倍の含有量です。

──都市鉱山によるリサイクルチェーンが実現するために、重要なことは何でしょう?

やはりメーカー、業界が責任を持ってリサイクルチェーンを作ることでしょう。

家電リサイクルが動き出した時、海外からはさんざんバカにされたものです。消費者からお金を取って廃棄物処理をするなんて、不法投棄の山になるに違いないと。しかし、実際には、大多数の日本人はちゃんとルールを守っています。メーカーがきちんとシステムを作りさえすれば、市民もそれに応えるのが日本人だと思います。

──海外での都市鉱山利用の状況はどうでしょう?

アメリカやドイツなどで、都市鉱山にどれくらいの資源が含まれているか、ようやく研究が始まったところです。この分野において、日本はトップランナーであることを自覚して行動しないといけません。
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研究者プロフィール

原田幸明(はらだこうめい)

1951年長崎県壱岐生れ、山本良一氏らとともにエコマテリアルを提唱。材料のリサイクル設計、LCAの日本への導入などを進めた。現(独)物質・材料研究機構元素戦略クラスター長、エコマテリアルフォーラム幹事長、日本LCA学会副会長、エコデザイン推進機構理事などを務める。

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都市鉱山で象徴的なのが、携帯端末ですが、中のデータを保存し、通信事業者でリサイクルチェーンを作ることは難しく無いですね。
日本がこの分野のトップランナーで、おそらく出来上がったシステムのルールを守って運用できそうであることも心強いです。
 
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