戦争の起源
196246 弥生時代の武器の変遷2 弥生時代前期後半〜中期
 
yuyu 09/01/01 AM11 【印刷用へ
■弥生時代前期後半〜中期(紀元前6?〜1世紀)

弥生時代前期後半になると、朝鮮半島南部から、新たに青銅製の短剣及び長兵である矛と戈が北部九州を中心とした地域にもたらされ、まもなく列島内での生産が始まるとされる。分布は北部九州に圧倒的に濃いが、短剣は少数ながら中国・四国・近畿まで及ぶ。北部九州ではおもに副葬品として、中国・四国・近畿では埋納をうかがわせる状況で出土し、ともに儀礼的な色彩が想定されているが、人骨嵌入や折損、磨ぎ直しの例から、少なくとも北部九州では実用もされていたことは間違いない。

中期後半になると、これら青銅製武器は、九州を含めて各地域、すなわち中部瀬戸内、東部瀬戸内、近畿、山陰などでそれぞれ独自の形態のものが生みだされそこを中心におのおのの分布域を完成させる。

ただし中期後半以降の青銅器は、全体の肥大化と重量増加、刃部の鈍化、着柄部や把部の非機能化が顕著で、すでに実用からかけ離れた祭祀具として特化が進んだものとみなければならない。

一方実用の武器としてはるかに普遍的に用いられたのは石製武器である。前段階以来の有柄式磨製石剣は前期後半になると形態の変容がますます著しくなり、実用に耐えないものが現れるが、分布域は一転して収斂し、ふたたび玄界灘沿岸と対馬に限定されるようになり、まもなく衰退する。一方その他諸型式の磨製石剣は、それと代わるように前期後半以降いっきに増加し、中期にかけて、分布域も北部をはじめとする九州各地のほか、中国・四国・近畿から関東まで及ぶ。

これら諸型式各々の分布をみると、退化有柄式と直把式とは九州から中国・四国・近畿・及び周辺に広がる。退化有柄式が中期をまたずにほぼ衰滅したあと、直把式が北部九州と近畿を二つの極として分布するが、総じて北部九州は長大なものが多く、近畿周辺のものは、それに比べて短小という地域差が指摘できる。
以上の石製衝撃武器はいずれも基本的に短兵とみなされるが、銅戈・銅矛という青銅製品としてこの段階に初めて列島に導入された長兵もまたすぐに石で写された。

投射武器は、武器としての打製石鏃は、おそらく前期前半の有茎式磨製石鏃の伝播を刺激として、瀬戸内中部や近畿中央部の各地で有茎式を含む大型品の分化が生じ、狩猟用として受け継がれたきた小型無茎式とは形態上の区別をつけて作られた製品の出現が指摘できる。そして中期中葉から後葉かけて、大型化した打製石鏃の形態に個性的な地域色が表現されるようになる。
鉄鏃は、北部九州では中期中葉から、瀬戸内や近畿では中期後半から本格的に普及し始める。

まとめると、衝撃武器の中に前期前半までの剣に加えて矛・戈という長兵が加わることによって、武器様式は衝撃武器(短兵+長兵)+投射武器という複雑化がみられる。また前期後半以降は、それまでの石製武器のほかに青銅製品と鉄製品とが相次いで加わる。さらに前期前半までは武器の分布に一定の密が見られたのは北部九州玄界灘沿岸周辺にほぼ限られていたが、前期後半以降は、中国・四国・近畿ないし東海・北陸など広い範囲で普遍的に認められるようになる。加えてそれらの武器の組成、材質、形態などに、きわめて多彩な地域的武器様式が並立するという状況が見て取れるようになる。
 
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