実現論を塗り重ねてゆく
192437 知識人の操ってきた観念群
 
北村浩司 ( 壮年 滋賀 広報 ) 08/11/16 PM07 【印刷用へ
古代思想(宗教)は、支配体制が確立する過程で生まれた。それまでの原始共同体は破壊され、人々の存在基盤は崩壊してゆく。その結果、世には、貧困や病苦が蔓延り、そして何よりも人間にとって絶対的である共認充足が失なわれてゆく。
そのような大衆の状況や意識=救い欠乏を見て取って、古代宗教は登場したのである。
しかし、この古代宗教が特徴的なのは、「現実の否定→現実の捨象」(「来世」等)という認識ベクトルである。

それまで人々にとって現実=圧力というものは、否定の対象ではなく、あくまでそれに立ち向かい、克服してゆく対象であった。
ところが、当時の現実=支配圧力=序列圧力を生み出した下部構造は、人々の私権収束である。従って、万人が私権を共認し、私権に収束している限り、この社会の全体構造を覆す事は出来ない。そのような状況認識に立ったが故に、古代宗教は直接の苦を生み出す序列圧力と私権収束を否定し捨象し、頭の中だけで「神の愛」などの本源価値に収束するしかなかったのである。
しかし共認充足が人類にとって絶対的なものである限り、そして共認充足の可能性がそこにしかない限り、人々は必然的にこの古代宗教に収束する。

近代も同様で、市場=万人の私権闘争の場が開かれる事によって、私権の現実の可能性が一部開かれたが、逆に私権格差は拡大し、村落共同体や、人々のつながりは崩壊し、人々の苦しみや共認非充足もより拡大してゆく。その過程で私権闘争の場が開かれたという現実に照応して登場したのが近代思想である。つまり近代思想は、「神」に代わって私権主体である「個人」を絶対的な位置に置き、同時に失われてゆく本源価値を「平等や博愛」という観念によってそれをつなぎとめようとしたのである。しかし、人々が私権収束している限り、必然的に私権闘争は発生し、敗者は勝者に否応なく従わざるを得なくなる。その結果「自由」や「平等」や「博愛」という理念は常に空虚なものと化す。
その意味で近代思想も現実を捨象した、頭の中だけの充足にすぎないという、構造は何ら古代宗教と変わりがない。
それでも共認充足の可能性がそこにしかない限り、同じく人々は近代思想に収束する。

ところが70年の貧困の消滅は全く新しい現実を生み出す。即ちあらゆる苦しみの元であった「貧困」の消滅は、人々の救い欠乏を著しく衰弱させる。加えてそれ以上に重要な事は、貧困の消滅によって、私権への収束力が急速に衰弱したことである。つまり現実を不動のものとしていた最大の下部構造が崩壊した事にある。
つまり、この事は私権時代3000年を貫く、変革不可能視に基づく現実否定のパラダイムが崩れ、現実の変革可能性が開かれた事を意味する。
 
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