経済
191210 『世界金融危機』金子勝/アンドリュー・デウィット著
「サブプライム危機〜現在に至る流れを概観」
 
竹村誠一 ( 30代♂ 長野 営業 ) 08/11/01 AM10 【印刷用へ
【目次と小見出し】
はじめに グローバル同時不況の危うさ

第一章 「影の銀行システム」の崩壊
・サブプライム危機の真実
・金融システムのどこが壊れているのか
・「影の銀行システム」とは何か
・損失が確定できない
・ウォール街の「最後の貸し手」

第二章 つぎの津波がやってくる
・バブル循環の時代
・津波はどうして起こるのか
・バブル崩壊はこれから
・住宅価格下落が消費を冷やす
・信用収縮は終わっていない
・企業倒産の波が来ている

第三章 ガス欠とオーバーヒート
・二つの長期波動
・デフレとインフレ
・縮小するFRBの政策的影響力
・「ガス欠」は止まらない
・日本は本当に環境先進国なのか

第四章 世界は壊れそうだ
・戦争とバブルの大統領
・不動産バブル崩壊はまだ続く
・問題は10年不況になるかどうかだ
・自動車バブルも崩壊した
・広がるグローバル不況
・石油インフレがグローバル化を遮断する
・米国のヘゲモニーは終焉するか?

おわりに 脱出口を見失った日本
・忍び寄るグローバル同時不況
・小泉「構造改革」の大罪
・抜本的な政策転換を

【読者のコメント】
この書籍(ブックレット)は今回の米国のサブプライム危機〜世界規模での金融危機という流れに平行して、雑誌「世界」2008年7月号〜10月号に掲載された記事を編集する形で書かれている。

筆者は以前から今回の危機を予見し警鐘を鳴らしてきた一人でもあり、記載されている内容はこの間のるいネット投稿と重複するところが大半である(※もちろん「貧困の消滅」によるパラダイムチェンジの概念は組み込まれていない。であるがゆえに収束先は見えていないが)。

そんな中で、第四章で指摘されている米国での商業用不動産バブルの崩壊に関する見識が目をひいた。

>もう一つの焦点は、第二章で指摘したように商業用不動産だろう。ここにバブル崩壊が及ぶと、銀行や投資銀行の損失がまた膨らんでいくからだ。08年第2四半期のGDP統計を見ると、住宅投資は15.6%落ちたが、まだ非住宅投資は14.4%増えている。しかし、その多くはホテル建設バブルであり、これが崩壊しそうだ。08年7月31日付ニューヨークタイムズ紙によれば、ホテルの部屋占有率は前年から5%下がり約65%になっている。また、新しいホテルは前年から27%増加して6000ほど(2000ほどが建設中、全体で80万室になる!)が予定されている。原油高によってビジネス出張や旅行が減少しており、極めて危険な状況だ。

 さらに、ショッピングセンター空室率も上昇し、4〜6月期に平均8.2%と13年ぶりの高水準を記録している。国際ショッピングセンター協会の予想では、08年の全米の主要なチェーン店の閉鎖規模は約14万4000店と、前年比で7%も増える見通しだ。

 8月1日付ファイナンシャルタイムズ紙によれば、格付け会社フィッチが、現在の商業用不動産担保証券の債務不履行率は4%だが、成長率が0.2%になるような不況に落ちた場合、10年間で17.2%(330%の増加)の平均不履行率になると推計している。0.8%成長では債務不履行率が13.7%となる。この中間的なシナリオの場合、BとBBランク商業用不動産証券のそれぞれの損失率は100%と95.9%になり、投資資格で最低ランクのBBB(トリプルB)でも、37.9%に達する。商業用不動産担保証券全体の約8000億ドルのうち、2006〜2007年に発行された額が49%ほどを占めている。米国のバブル崩壊の終わりは依然として見えてこない。<

大阪でも百貨店やホテル建設が続いており「だれが利用するんだ??中国人観光客??」といった虚しさが漂う(頼みの中国観光客も今回の危機と無縁ではなく、「観光立国日本」はやはり幻想では)。そんな中、上記のアメリカの商業用不動産事情はリアルに聞こえる。
 
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