前稿の補足です。外部刺激+内部欠乏⇒反応・行動という本能的な自動回路を共認回路が複雑化させたのでは? というイメージについて。
様々な外部刺激に対して脳内で価値判断を下しているのは大脳辺縁系の扁桃体と言われています。ここには感覚入力系、運動入力系など広範からニューロンが投射されており、言わば内部欠乏の司令塔と言えると思います。
一般の動物であれば、どのような外部刺激に対しどのような価値判断を扁桃体が下すかは、概ね決定されていると思われます(条件反射のような特殊な訓練をした場合を除いて)。ところが、もしここに共認=「相手と同じである」ということが強烈な快の充足を引き起こす信号として介入した場合どうなるか(なぜ共認が快なのかは置いておきます)。
例えば、(あまり良い例が浮かびませんが)外敵を前にして単独で対処する場合と複数で対処する場合、全く同じ外部刺激であっても、快感に導かれて扁桃体の出す答えが微妙に違ってくる。そこで本来は無かった回路のつなぎ増しやその増強が生じ得ます。このようなつなぎ増しは「体験依存型」とも言うべき自在さを持ったものとなり、群れ生活を重ねるほど増え、脳回路の容量増大を要求します。また、さらにそれが個体と群れの行動バリエーションを増やし、可塑性と容量増大を加速させることが考えられます。
サル、特に比較的進化した真猿類が群れごとに固有の「文化」を持っているのも、このような体験依存型回路の獲得で説明できるかも知れません。
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