日本人と縄文体質
185181 継体〜草原から来た天皇
 
山澤貴志 ( 43 鹿児島 ITコンサル ) 08/09/09 AM03 【印刷用へ
草原から来た天皇というHPでは、継体天皇は騎馬民族エフタルの有力者の一人であるという小林惠子氏の説をもとに、5〜6世紀の日朝古代史を分析している。
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継体の両親の出身地とされる三国と高向(ともに現在の福井県)あたりは、当時は製鉄地帯であった。5世紀の倭国は、砂鉄は採れたものの、まだ鉄鉱石の産出量が少なく、朝鮮南部の加羅(日本では任那ともいう)の鉄資源に依存していたようである。加羅の領有をめぐる新羅と倭国の争いも、この鉄を巡る権益が主な原因だったのではないか。

継体が大和入りした翌527年の磐井の反乱も、すでに大和が列島の中心だったという前提のもとに「反乱」などとネーミングされているが、実際は、継体率いる大和軍が九州への侵略を企て、これを迎え撃つために、同一文化圏内にあった筑紫と新羅が連合して戦ったというのが真相であろう。

継体と同じ時代、新羅に智証麻立干(ちしょうまりつかん、在位500〜513)という王がいた。麻立干は「干(カン)」が付くように、騎馬民族系の王の呼称である。小林惠子氏は、エフタルの有力者である継体は、大陸から越に入り、500年に新羅を攻め、新羅王・智証として即位したと説いている。

奈良県五條猫塚古墳から出土した5〜6世紀の「四方白鉄地金銅装蒙古鉢型眉庇付兜」、略して「蒙古鉢型兜」。(これは)5世紀の中央アジア(西トルキスタン)に忽然と現れた騎馬民族の大勢力・エフタルの兜と推定され、ヨーロッパでも出土するが、最も数多く出土するのは意外にも朝鮮半島南部、新羅と加羅の領域なのだそうだ。この事実は、エフタルが中国や高句麗を経由せず、ダイレクトに日本列島に上陸し、そこから半島南部へ逆上陸した可能性を示している。つまり彼らは、ユーラシア北方の草原ルートで、現在のロシア極東部である沿海地方に至り、そこから日本海を横断し、佐渡を経由して新潟に上陸する「北回りルート」で列島に渡って来たと考えられるわけである。彼らはいったん列島の日本海側すなわち越、若狭、出雲などを拠点とし、そこから鉄資源を求めて朝鮮半島南部へ逆上陸したのだろう。 スサノオ神話に新羅が登場するのも、このような史実を反映していると思われる。

広大な大陸で中国を相手に領土の奪い合いをしていた騎馬民族の認識からすれば、単に「倭王」になることだけを望んでやって来た王などいなかったはずだ。半島を制した王はその次は列島への侵略を試み、逆に列島を制した王は、次は半島に照準を合わせるというのが自然な考え方だったろう。『書紀』は、天皇家がそこまでの夢はもはや断念し、列島だけで国家がこじんまりとまとまってから編纂されたものである。

現代人の常識と8世紀の常識が異なるように、8世紀の常識もまたすでにそれ以前の古代の常識ではない。むしろ記紀は、古代の常識を歴史から払拭することがその大きな目的でさえあったのだ。
 
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